◎発見│ミャンマーの観光スポット

 ミャンマーの東部に位置するカヤー州は、英国統治時代はカレンニー州( Red Karen State)と呼ばれた。当時のミャンマーでは、この州だけが外国の部隊が駐留しなかった。先の大戦の終戦間際に日本軍がタイへ退却したときに、初めて外国の軍隊が入った。パーリー語の地名表記では「カンタヤワディ」といい、北にシャン州、東にタイのメホンソン(Me Hong Song)、南、西部はカレン州と隣接している。

目次

Kayah State (Part 1) ダイナミックな自然と多様な民族が 暮らす魅惑のカヤー州を探訪する。

カヤー州とはどんなところか

州都のロイコーを含め、広さは1万1670平方㎞ある。地形的にはDawna山脈が連なり、サルウィン川が州を横断するように流れている。インレー湖から水が流入するビルー川も有名だ。1930年代には、カヤー州のBawlakeで、世界的に需要が多いタングステンのMawchi鉱山が発見され、注目を浴びた。
 州の特色のひとつは、カヤー族、カヤン族、ブエ族Bwe、ゲーバー族Geba、マヌマノー族Manumanaw、インタレー族Yantale、ザイエィン族Zayein、ゲーコー族Geko、インボー族Yinbawなど9つの民族で構成されている多民族州ということ。言葉や伝統が異なる民族が集まり成立している珍しい州だ。その民族構成を見ると、地元民族の集合体56.12%の他に、カレン族が6.45%、ビルマ族が17.58%、シャン族が16.66%、他パオを含む諸民族が2.08%住んでいる。
名産は玉ネギ、チーク材、バダウの木、唐辛子と綿だ。米も栽培しているが、自分の家の食べる年間分を保管し、余った分を販売しているという。金、エメラルド、アンチモ二、プラチナ、鉛などの鉱物資源も豊富な埋蔵量を誇る。州都ロイコーにはコンピューター大学、技術大学、ロイコー大学、農業大学などの最高学府も揃っている。
 職業別にみると公務員と農業従事者が多い。カヤー州へのベストシーズンは9月と10月である。緑の畑に露がかかる景色はまことに幻想的だ。しかも険しい山々に澄んだブルーの泉、流れの激しい川や手つかずの景観を残す湖や滝など、ミャンマーの都市部では見られない、美しくもダイナミックな自然に魅了される。今回は観光地としてはまだ未整備な部分の多いカヤー州の州都ロイコー周辺を中心に、観光スポットや伝統文化、慣習などをレポートした。

「カヤーリゾートホテル」を拠点に周辺探訪へ

ヤンゴンを朝11時15分の飛行機で発てば、12時20分にはロイコー空港に着く。わずか1時間足らずだ。しかも市街地が近接しており、空港から3分ぐらいで、「カヤーリゾートホテル」にチェックインできる。
 新しくできたリゾ―ト内は、静かで清潔感に溢れていた。特に、リゾートのすぐ目の前に広がるゴルフ場を通って吹くそよ風が、さわやかこの上ない。約2.5エーカーの広さを誇るリゾート内には、モダンなデザインが印象的なバンガロータイプのゲスト住戸26戸がバランスよく配置されている。まるで公園のようだが、客室内の使用設備は驚くほど近代的だった。 日本人客にもお薦めしたいゴルフ場付きの「カヤーリゾートホテル」をベース基地に、まず、チェッグー( Ghost Cave )に向かった。ロイコーから16キロ、車で30分。英語名でも推察できるように、昔からの「棺」が保管された洞窟である。
 海抜2990フィートにあり、洞窟まで縦長い階段を上がっていくと、右手にカラフルな景観が広がってくる。息を呑む景色だ。ミャンマーでは三番目に長い洞窟だという。数十年前までは、洞窟に入って帰還できなかった人の遺体などがあったらしいが、現在は整備されて気分よく観光できる。しかし洞窟の長さは2.2キロもある。内部に進むにつれ気温が下がり、ひんやりとする。洞窟を進み最終地点の湖に着く途中に、長さ13フィート(約1・3m)の「棺」が視界に入る。標高の高い洞窟に、この重量感のある「棺」をどのように運んできたのか、謎だ。
夕焼れ時に、タウンクエゼディ(割れ山パゴダ)に案内していただいた。カヤー州の人気観光スポットだけに、眺めが素晴らしい。5時半ごろになると、空が朱色に染まり、夕日が空に溶け込むように見え、雄大な山影に沈んだ。
その晩はカヤー伝統料理を味わった。KaungYae (玉蜀黍を発生した一種のワイン)と、ビルー川でとれた貝、牛の内臓を煮たスープやお粥などだった。特徴は油や化学調味料を全く使用しないこと。新鮮な肉は本当に美味しかった。ただし、慣れてない外国人は、お腹に注意したほうがいい。

信仰心の厚い素朴で純粋な人々

翌朝はデモーソー市場(De Mo So Mor ning Market)へ足を運んだ。ここは、水曜日と土曜日の開場なので注意。田舎の市場だけに、売買している商品も雑多で面白い。新鮮な果物や植物はもちろん、蜂蜜、鳥、雉、焼き豚などの売り場が特に賑わっていた。 その後、45分ほど離れたタニーナーレー村にも向かった。地元の方が魚と鳥、豚骨などを焼いた料理を用意してくれた。キッチンに入ると、柱に豚の頭の骨がかけてあった。「それは、お祝い物ですよ」と、お父さんが笑顔で言った。子供が結婚するときに豚を一頭捧げ、肉は村の人に振る舞い、頭は家に飾るという風習だという。だから豚の頭数を見れば、その家で結婚した子供の数が分かるという。
 天井に飾られた竹のお守りも興味深い。「ローメといいます。亡くなった先祖を呼ぶためのものですよ。これをかけてない家には先祖は戻ってこないと言い伝えられています。何か祝い事を行うときに、これがないと招待もできないんですよ」と説明してくれた。珍しい慣習だ。ちなみにカヤー州は55%がキリスト教徒で、残りは仏教徒や神を信仰する人々だという。 村には異なる種類の神棚があった。地元では聖地であり、祈祷師しか入れない場所だ。狩りに出る前に祈る神棚には、捕獲した豚や動物の頭を飾り祀っている。このあたりには本当に珍しい習慣が数多く存在し、これを真剣に説明する素朴さに驚く。神と人間を繋げる祈祷師のことを、神の代弁者と思う純粋さが伝わってくる。現在でも交通手段や電気、水道、教育設備や病院など、インフラも未整備な部分が多い。道中たまに診療所が目に入るが、住宅地から遠いので、多少の病気なら祈祷師の薬を使用してるようでもあった。

緬泰を結ぶラブロマンス伝説が残る

次にKanKunitSint 湖に向かった。壮麗で緑豊かなこの湖には素敵なラブストリーが残されていた。この地方のことを昔から「NgweTaung」(銀山の国)といい、現在でもこの呼び方は継承されている。
 大昔、このNgweTaung 国の王には7人の娘がいた。緊那羅(きんなら)族で、鳥の羽に類似する伝統服を着ているときは、空を飛ぶ力を持っていたそうだ。
 ある日、 湖で7人の姉妹たちが水遊びをしていた。日が沈むころ、森林をタイ国のThu Da Nu 王子が通りかかり、姉妹たちを人か神かを確かめるために罠で捕まえようとした。姉妹たちは逃げたが、一番下のDwe Me Naw王女だけがとり残された。そして飛ぶ力がなくなりタイに連れて行かれた。しかしタイの王子には愛され、大事にされてたが、結局王女はNgweTaung国に逃げ戻ってきた。だが、恋に落ちたので、心はタイにあり、王子に未練があった。
 この物語はミャンマーでは子供の頃から聞かされる挿話で、綺麗なNgweTaung国の情景が目に浮かぶほど。結局、タイの王子は険しい山を越え、NgweTaung 王の怒りを覚悟で王女を連れ戻しにやってきたが、王子の力量を王も理解し、娘と結婚させ一緒に空に飛び上がったという。この伝説は、今日までタイとミャンマーを結ぶラブストリーとして残る。ちなみに、空に飛ぶ人間の顔で鳥の体の民族を、男性なら「キンナリー」、女性なら「キンナラー」という。カヤー州のランドマークも「キンナリー・キンナラ」になっている。
production dam)は、ミャンマー国内の総水力発電量の四分の一をカバーする水力発電所である。ヤンゴンやマンダレーなど大都市への電力配給を70年間も担ってきた。賠償時は30年間の契約だったが、70年を経た現在でも稼働中だ。内戦で何度も破壊の危機に見舞われたが、現在は国の重要施設として国軍の管理下にある。現在JICAがメンテナンスを行い、(立ち入り禁止。外国人もミャンマー人もカヤー地域駐在ビルマ国軍の許可必要) 電力発電所建設前に作られた日本からの賠償友好橋も健在だ。

Tags
Show More