◎今月の視点 創刊三周年に向け支援者とミャンマー人に対して心から御礼を

長い連休の水かけ祭りも終わり、そのあとに日本では黄金週間を迎えた。

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連休中に2つの取材旅行が実現 壮絶極まりない戦争の歴史に触れる

長い連休の水かけ祭りも終わり、そのあとに日本では黄金週間を迎えた。ミャンマーに関係する邦人企業は、この4月から5月にかけては仕事にならぬのではないかと危惧する。
 しかし当方にとっては、今回の休日は有難かった。国内遠方への取材依頼やご招待の声が複数かかり、その中からこの時期にしか行けない二つの取材旅行をお受けした。
 ひとつは北部カチンの州都ミッチーナへの旅(P32,33参照)。新しい四つ星ホテルからの招待だが、ここはあの無謀でずさんなインパール作戦で凄惨な結果を生んだ激戦地だった。もう一つは南東部のタンピューザヤで行われた泰緬鉄道記念博物館での「世界平和の塔」除幕式への出席であった (P22, 27参照)。前ヤンゴン日本人学校長置田和永氏らの尽力で実現した感動的なセレモニーだった。
 どちらも太平洋戦争がもたらした悲劇の場所だが、戦後71年経った現在でもミャンマーに関係する心ある邦人にとっては、鎮魂と慰霊を捧げにはいられない壮絶極まりない戦争の歴史を秘めている。

インパール作戦の激戦地ミッチーナ 泰緬鉄道の犠牲者への鎮魂の除幕式

ミャンマーに長らく暮らしてしていると、先の大戦で日本軍が残した痕跡を見聞きし、爪痕に接する機会も少なくない。いまだ数万柱といわれる英霊たちの遺骨収集にしても、ミャンマーの国内事情もあって、遅々として進まなかった。
 ミッチーナから帰還した元日本兵の故坂口睦さんが、30mもあろうかという鎮魂のための寝仏を、約半世紀かけて私財を投じて10年前に建立した話は、つい最近になって表面化した。
 泰緬鉄道博物館にしても、今年1月4日の博物館開館時には、反日色の強いモニュメントが展示され、これを粘り強い交渉の末、自主的に徹去していただき、代わりに「世界平和の塔」というモニュメントの建立許可をいただいた経緯がある。
 もし、最初のモニュメントになんの違和感を持たずに放置していたとしたら、これが既成事実となって後世の火種になりかねない。そればかりか、英霊たちにとっても無礼千万でまことに遺憾な例となっていた。
 日本にいると、隣国の歴史認識問題や威嚇行為に翻弄されるが、ミャンマーでは現在も第二次大戦の解釈と戦史観を巡って、黙視できぬ状況に立たされることが間々ある。そうした場合にどう対処し、どう行動するかは難しい判断になるが、少なくとも
未来永劫の平和を願う気持ちがあれば、無視はできぬ。そのためには正しい歴史認識を持ち、誤りは誤りとして是正していく勇気と姿勢は大事だろう。その意味で、置田氏らが行った行為は、民間人の努力の賜物だけに、まさに快挙といっていい。

真剣衝負の姿勢を崩さずに 優しきミャンマー人を応援

弊紙は今号で創刊三周年を迎えることができた。これも読者の皆様と広告主様のおかげだと感謝しているが、毎号当方を含めた日本人編集者5人と、優秀なミャンマー人スタッフ14人の総勢20人で、日本語版とミャンマー語版を発行してきた。
 情報提供、イベント、セレモニーへの招待、邦人企業様のニュースや読者諸氏からの激励やお叱りの言葉まで、最近は多種多彩なコンタクトが弊紙に寄せられるようになった。水祭り前には、ネピドーの連邦共和国外務省からじきじきにお電話を頂戴し、毎月弊紙を送付してほしいという依頼も届いた。
 まことに光栄な申し出だ。真偽のほどは定かではないが、かって京都大学へ研究員として赴任し、故三島由紀夫氏の「金閣寺」を原書で読破するほどの日本語力の持ち主だと囁かれるスーチーさんが、万が一弊紙に目を通していただいているとしたら、今後もより一層心して紙面を作っていかなければならぬ。
 たかがフリーペーパー風情が、とお笑いになる方もいるかもしれぬが、試行錯誤を繰り返しながらも、弊紙は毎号真剣勝負の姿勢は崩してはいない。今後もこのポリシーは編集の根幹に置く。だから少なくともこのフロントページでは、この国のためを思って、愚痴ではなく、あえて建設的な厳しい小言を今後も言わせていただく。
 外務省や情報通信省の方々がお目を通していようが、弊紙に後ろめたさは微塵もない。この国が一刻も早くひとり立ちし、戦後は東アジアにおいてGDPでトップを誇っていたこの国が、再び復活することを望んでやまない。ミャンマーでは先の戦争のことに関しても、歴史教科書にはフェアに記述している真摯な姿勢だ。「日本人が快く思わないかもしれません」という申し出に対しても、モニュメントをわずか二か月で自主的に徹去してくれた心優しきミャンマーの方々は、難癖ばかりつける隣国たちとは異なる。少なくとも当方はこれからも見守り続け、ずっと応援していくことはいうまでもない。

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