◎新春 特集 水問題の解決を図る「第3回アジア・太平洋水サミット」 人類の深刻な問題に世界も注目

 昨年12月、アジア太平洋地域の各国政府や国際機関の代表約600人が参加した、水資源の確保など水の安全保障を話し合う「第3回アジア・太平洋水サミット」がヤンゴンのセドナホテルで開催された。  

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    この地域では、近年急激な都市化や工業化が進み、これにインフラ整備が追いつかないのが現状。特に排水処理は海や河川に放出されているケースが極めて多い。また飲料水の衛生確保や気候変動が鯨飲と思われる水害対策も急がれていることから、この会議が実現した。
     この「アジア・太平洋水サミット」は、すでに23年前に日本で発足し、前回のタイ・チェンマイ大会を経て今回のミャンマー開催で3回目。その開催国のリーダーであるアウン・サン・スー・チー国家最高顧問は開会式の冒頭で、「水資源の永続確保は経済成長にとってとても重要。」と述べ、農地の拡大、産業の高度化には水が不可欠だと強調した。
     アジア開発銀行(ADB)によると、アジア太平洋地域の水需要は2050年までに現在よりも55%増加する見込みだという。このため必要な水を確保するには、取水から排水処理に至るまでの総合的な水資源管理が必要不可欠だという。
     ミャンマーは2008年にサイクロン「ナルギス」で約14万人の犠牲者を出すなど、毎年雨期にはかなりの水害被害に遭っている。ミャンマーでの今回の開催は、そうした意味でも「水問題に直面する多くの国々を代表している」と意義を強調された。
     今回のサミットには、日本からも石井啓一国土交通大臣がかけつけた。発起国の責任として、この会議に臨んだのだ。また水関連政策を統括する各国・国際機関の代表が集まり、幅広い意見交換が行われた。日本は水問題の解決に向けた取り組みと、対処方法や関連技術などを紹介し、アジア・太平洋地域において存在感を示した。
     会議は2日間にわたり開催され、10のテーマ別セッションが行われ、石井大臣は、「気候変動下の水と災害-山岳から島嶼まで」、「水循環の再生:雨水利用と持続可能な地下水管理」、「衛生の改善と下水道管理」のセッションに参加した。
     環境という観点からみれば、水の衛生問題は世界的な関心が高まっている。中国の習近平国家主席は昨年11月、農村部を含め衛生管理を徹底する「トイレ革命」の推進を指示している。インドのモディ政権もトイレ普及率100%への引き上げを重要政策として位置づけた。 
     ちなみに、国連が定めた30年までの開発目標「持続可能な開発目標(SDGs)」では「全人類に安全な水を供給する」とする目標を掲げている。日本の経済産業省の試算によると、上下水施設や産業用水などを含む「水ビジネス」の世界市場は約83兆円規模になるという。そのうちの約36%がアジア太平洋地域で占められるという。
     ヤンゴンではすでに大阪市、東京都などの水道局などが、水道事業へ支援を開始しているが、大手法人企業にとっても大きなマーケッと②なることは歌う余地はない。しかし、料金収入が見込みにくい下水道の整備などは、民間企業の関与が難しく、投資資金の確保が課題となる。
     今回の水サミットは2日間にわたり、12日には各国の取り組みの指針となる「ヤンゴン宣言」が採択された。

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