◎第36 回 旅│テリー先生の滞在記

国境の街—ムセ( シャン州)

目次

    ミャンマーと中華人民共和国の国境が開けている街は私の調べたところでは5か所ある。国境は2国間の取り決めなので状況が変化することはあるが、5か所の中でも一番大きな国境の街はシャン州のムセである。陸上貿易の80%はこのムセの国境ゲートを通過する。昨年の貿易額はUSD1,260(約126億円)とある。中国側の街の名前は雲南省瑞麗市(Ruili)、地図にあるようにマンダレーからピンウーリンそしてラショーを通りムセに入る道が中国貿易での主要道路である。

    今回の旅は中国との野菜(唐辛子)の貿易をしている友人がムセに商談に行くというので、是非遠くに鉄橋が見えた、車の運転手は難所なので真剣に運転している、写真を撮りたいので止まってと頼める状況にはない。300mmの望遠レンズで狙った。行きたいとお願いして同行した。マンダレーのホテルを朝6時に出発した。途中にあるミャンマーの軽井沢と言われているピンウーリンは何度か来ており、歴史のある植物公園やイチゴ農園など見所は多い。今回は長旅になるので、朝ごはんを食べてすぐに出発した。
     ラショーまでの道中に、最初の難所がある。深い渓谷があり、大型トラックが曲がるのに苦労するU字カーブが続く。

    ゴッティ鉄橋はナウンキオ渓谷にかかる鉄橋で、1899年、米国のペンシルバニア州から鉄骨を運び英国の技術者の設計で1900年に完成した。鉄橋の長さは2260ft(689m)、川の水面から820ft(250m)の高さで完成時は世界一の高さであったとWikipediaには情報が載っている。ラショーからムセまでは山道が続く、大型トラックの専用道路のような状況になる。山岳地帯に入り、カーブが多くトレーラーや大型トラックの運転は厳しい、途中、一台のトラックがカーブを曲がり損ね溝に入り、大渋滞となった。

    外国人は中国側に入ることはできない。ミャンマー人は1日の許可パスで中国に入ることができる。向こう側には大型ホテルが立ち並んでいる。中国では販売禁止なのか分からないが、鉄格子販売店ではリポビタンD、やタイのM150などが並べられている。鉄格子の向こうは中国、こちらがミャンマー側、国境貿易?(販売)の現場である。朝、まだ早い時間なので店主は販売準備に忙しい。売れ筋が何かと聞くことができなかった。
     街を歩いていると見慣れぬ光景に出会う。竹で筒を作っている人がいた。
     かなり精巧な仕上がりになっている。この竹筒は何に使うのか?わからなかった。店員らしい人に聞くと、桶に水を汲んできて竹筒の中に入れて、口を竹筒の上部に当てて空気を吸うと、ボコボコと音がした。水パイプのようである。当地のムセはタバコなどの大人の嗜好品が多く出回っているようで、需要があるのだろう。何軒か竹筒の店が並んでいた。

     マンダレーへ
    の道沿いに多量
    のスイカが売ら
    れていることを
    思い出した。か
    なりの量がこの
    ムセの街から中国に売られていくようだ。食事はもちろん中華料理、雲南料理である。デザートは甘いスイカが出てきた。当たり前だが商売、貿易は需要と供給で成り立つ、価格交渉は両陣営の情勢で決まってくる。何とも不思議な感覚になる街だった。

    <テリー先生>
    本名 宮川照男。1949年平塚市生まれ。早大理工学部卒業後、山武ハネ
    ウエル(株)入社。1988から1992年、同社米国駐在所長を経て独立。
    野菜工場設備会社(有)アイエスエス設立。スプラウト栽培を日本に紹介、普及させる。その後、東海大学湘南キャンパス、チャレンジセンター特任職員として「ものつくり」「環境キャラバン隊」などを指導。2013年5月より、ヤンゴンにて農業視察、調査を開始。Yezin Agricultural 大学の学長らと、ミャンマー農業支援について討議を重ね、現在、同大学とヤンゴンのElephant Seed 会社と種子生産についての技術提携を計画中。小型飛行機操縦士免許取得。teruomiyagawa@gmail.com

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