◎導│ミャンマーに貢献する日本人

人まかせの経営ではうまくいかない ミャンマーに骨を埋める覚悟と気概で

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植木 宏明 Hiroaki Ueki 「蓮」グループ代表取締役 REN Group President

これまで植木さんがミャンマーへ進出した経緯、その後の推移などを2回に渡って紹介してきたが、早いもので滞在はすでに3年半になった。この間、植木さん自身は試行錯誤を繰り返しながら「蓮」グループを拡大してきた。
「精神的に一番きつかったのは、やはり「蓮」のサヤサン本店を立ち上げから、スターシティに2号店を開店させたあたりまででしょうね。慣れというか、ミャンマー人の感覚が段々わかってきたというのか、2年目に入り、少し自信めいたものがついてきたような気がしました」。
 とは言ってもこの2年間で6店舗の「蓮」グループ店を開業させ、その度にスタッフの選定、食材の調達などに奔走したわけで、傍から見ると決して息が抜けない日々の連続だったと推測する。
「確かに楽な毎日ではなかったですが、その分充実感はありましたよ。それにミャンマーのペースは早いですからね。日々変化していきます。うちの店の客層は、日本人の方が4、5割、ミャンマー人が3割、あとは諸外国の方になりますが、最近は以前に比べてミャンマー人の客単価が上がってきましてね。時々、“もっといい酒はないのか”なんて言われたりして戸惑ってしまいます(笑)」。
 開業当初はスタッフもある程度自由に伸び伸びとやらせていた。しかし、最近は少々スタッフ教育をした方が、とも考えるようになったという。
「現在はたまに地元岡山へ帰れるようになったのですが、日本のサービス業というのは完璧すぎて、ある意味マニュアル化されているようで面白味がないのを実感するようになりました。その点、ミャンマー人は愛嬌があるというか人間らしいというか、だからヘマをしても憎めない。この前、岡山からきた日本人スタッフが、この愛嬌の良さに驚いていました。”勉強になります“と言ってました(笑)」。

人気のメニューも定着してきた。日本人はやはり焼き鳥系だが、ミャンマー人は意外にも卵で豚肉をくるんで焼いた豚平焼きが大人気だという。「やはりローカルのお客さんにきてもらわないとだめですよ。10月9日に工事が遅れていた7店舗目となる「蓮」カンドージ店をようやくオープンしました。ここは個室をメインにして料理も一手間加えたもののみで、大人の落ち着いた雰囲気の店にしました。ですからスタッフの教育も少し厳しくやりましたね。日本並みとまではいかないまでも、いつまでも愛嬌ばかりではいけませんからね」。驚いたことに、植木さんはこのカンドージ店を開店させたばかりなのに、ヤンゴン市内でもう8店舗目の構想もあるという。他人事ながら大丈夫のかと思ってしまう。
「先日物件を見に行きましたが、やはり家賃が高くて駄目でした。いい場所で家賃も妥当ならと考えていますよ。グループ店はヤンゴンだけでなく、ネピドーやマンダレーへの出店も視野に入れています。ネピドーへ物件を見に行きましたが、いい場所はまだ高いですね」。

現在7店舗を経営し、時折帰国し、そのうえ各地の店舗物件を調査して歩く植木さんは、本当に常人では考えられないパワーの持ち主である。「これからミャンマーで飲食店経営を考えているなら、まず半年くらいオーナー自ら現地に住んでみることを勧めます。色々なことが解ってきますよ。そこからお店のイメージを構想し、準備を始めるくらいの時間と余裕を持たないとうまくいかないと思います。もちろん人まかせの経営も駄目。最初は何でも自分でやらないといけない。これがミャンマーでの基本だと思います」。
 なるほど、ご自分の経験からこう断言できるのだろうが、なかなか説特力のあるアドバイスだ。
「この国では色々思い通りにいかない面はたくさんありますが、それを差し引いても僕は基本的にはミャンマーが好きです。この国に骨を埋める覚悟でやっています」。
 若干35歳で独身という植木さんの性根の座った気概がある限り、「蓮」の躍進は当分続いていきそうだ。

<略歴>
本名:植木 宏明 
Ueki Hiroaki
生年月日:1981年6月(35歳)
生まれ:岡山県岡山市
現在:独身 血液型:B型
職歴:大阪の大学を卒業後、運送会社の営業職に就職。その後NTTの営業職へ。2006年、25歳で独立起業。故郷の岡山市で広告代理店業を開始。また地元飲食店向けのタウン情報誌を発行。広告代理店経営を続けながら、28歳の時に岡山市内で居酒屋開業。以後現在までに居酒屋など市内に自身は3店舗、パートナー店併せて5店舗の居酒屋を展開。
ミャンマー進出:2013年3月、ヤンゴンのサヤサン通りに、「蓮」1号店を開業以後、1年間で市内に「蓮」グループ4店舗を開業。2016年8月に7店舗目を開業予定。
将来の夢・目標:ミャンマー全域での店舗展開。難しいことを考えない40代になる。直感を磨き続ける。

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