◎今月の視点 交通渋滞の抜本的解決は「道交法」の強化と「免許制度」の改革から

束の間のいい季節だった。12月から1月にかけてのヤンゴンの朝晩は20度を切り、 爽快だが少々身が引き締った。

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渋滞解消へ管区政府が動き出す バス系統を集約化した新システム

束の間のいい季節だった。12月から1月にかけてのヤンゴンの朝晩は20度を切り、
爽快だが少々身が引き締った。しかしぽかぽか陽気の日中になると、再び緩く怠惰なペースに引き戻される。
 ところで、年が改まってからヤンゴン管区政府の動きがあわただしい。路面電車構想や実現かと思われた市内への二輪車乗り入れは今回も禁止のままなど、増々ひどくなる交通渋滞を何とかしたいという管区政府の想いが伝わってくる。
 運航業者の入札が始まった市を囲む両河川を利用した水上タクシー計画、中央政府と連携し右ハンドル中古車の条件的輸入禁止など打開策を次々に打ち出してきた。そして極付けは先月16日に施行された「Yangon Bus Service」(YBS)だ。交通手段が車か環状線しかないヤンゴンでは、これまで市民の足はバスだった。その足が300本から60系統に圧縮された。これも渋滞解消策である。

半端でない朝晩の幹線道路の渋滞 無謀運転、ルール違反が絶えない

ピーロード沿いのコンド12階に住む当方
は、在宅時には始終目の前の幹線道路を観察しているが、月曜金曜のピーク時にはインヤー湖付近からサークル交差点のハンターワディまで、時として上下線とも駐車場状態になる。ヤンゴンに来たことのない方にはイメージしにくいが、東京でいえば第一京浜の品川~新橋間くらいがびっしりといった感じだ。
 根本原因はもちろん限定された狭い経済活動範囲の中に車が集中することに起因しているが、これに拍車をかけているのが無謀運転、交通違反、ルール無視、希薄な譲り合いの精神そして運転技術の未熟さだ。
 管区政府は。昨年から道路や歩道をふさぐ露店をストランド通りに移転させたり、駐車違反への取り締まりを強化したり、シートべルト着用の義務付けを法制化したりと、あの手この手で問題解決に取り組んでいるが、果たして抜本的な改革になるのかどうか。

「道交法」の見直しを早急に 免許取得に厳しいハードルを

交通渋滞という問題をとらえれば、1960年に施行された日本の「道路交通法」が果たしてきた役割は絶大だろう。第1回の東京五輪に向けて、関東エリアでは首都高速や環状7号、8号線などの道路網の整備や新幹線開業など鉄道網の改革が進んだ。以後高度経済成長を遂げ、狂乱のバブルに踊る時代あたりまでは、首都高の渋滞などが慢性化していた。
 そのため政府は外環状線などを新設し、都心への乗り入れを回避できる手段を講じた。それでも完璧な渋滞解消にはならなかった。
 本当に効果があったのは「道交法」の改良、改善そして厳格な違反者摘発だった。まず1970年にそれまで大めに見られていた飲酒運転がやり玉に挙がった。その2年後に「初心者マーク」の義務付けにはじまり、今では「高齢者運転標識」(紅葉マーク)や身体障碍者標識(四葉マーク)なども必要になった。
 その後シートベルトの着用、運転中の携帯電話禁止など、時代に合わせて法改正が行われたが、中でも厳罰化されたのが飲酒運転だった。2007年には飲酒運転に対する罰則が引き上げられ、最高で懲役3年、罰金50万~~懲役5年、罰金100万になった。「車両の提供」、「酒類の提供」、「同乗行為」にも同等の罰則が課せられるという厳しいものだった。
 むろん日本の教習所や運転免許試験場での講習も、運転技術講習はさておいて、交通ルール違反者がどれだけ悲惨な目に遭い、本人も含め被害者の方々を奈落の底に突き落としたかを映像でこれでもかと言わんばかりに見せられる。そして意識下に「交通違反は重罪」という警戒心を摺り込ませる。
 ではミャンマーはどうなのか。昨年、ローカル紙が「車両登録数500万台に対し、運転免許保有者が350万人しかいないのはなぜか。150万が無免許なのか」という問題提起をしていたが、これも怖い話だ。そんな事がまかり通っているのかと落胆さえ覚える。この無法者たちは、ご自分たちが他人と社会にどれだけ迷惑をかける高い確率を待っているかの自覚がない。
 だからこそ「ミャンマー道交法」の強化と「免許制度」の改革が急務になってくるのだ。せっかくスロ-ライフを満喫したいと思っている矢先に、左から右から隙あらば割り込みや車線変更を繰り返す運転手が相変わらず絶えない。信号機が故障した交差点などはもう収拾不可能で修羅場状態になるのはもうご免だ。
 酒にも寛大だ。酒臭いタクシー運転手がいるのはどうしてなのか。この方たちは、一体人間の命をどう考えておられるのか。使い古された言葉だが、“車は凶器”にもなることを自覚、認識しているのか疑わしい。
 免許制度にしても代理申請やお金がまかり通る制度では絶対にいけない。少なくとも我々日本人の免許保有者が受けた洗脳にも似た擦り込み講習を、十分に受けさせるべきだろう。しつこいようだが「車は両刃の剣」になることを徹底して教え込む必要がある。
 もし今後渋滞地獄が少しでも好転し緩和されていき、例えば車移動が1日15分でも短縮できれば、月450分、年間で約22日も時間が有効利用できるのだ。このままでは経済的損失も計り知れない。

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