金箔工房(Gold Platte)を訪ねて 金箔「gold leaf packet usually containing one hundred leaves.」

 マンダレー中心部にある「金箔工房」にも取材に出向いた。国際的に注目されるミャンマー伝統の「ゴールドプレート」の創作法は実に興味深かった。

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     仏教徒の寄付行為には金箔が不可欠である。マンダレーのMyat Par 区にはその金箔作りで知られる工房が集まっている。願いを込めてパゴダに貼る金箔をを作るには、まずゴールドフラットの段階を経ないといけない。金の塊をプレートになるまで薄く延ばしていく作業だ。
     マンダレーのMyat Par 区ではこの金箔に関して、Sayar Mon 「モン先生」を崇める慣習があるという。Sayar Mon は、マンダレーのMahaMyatmuni パゴダに金箔を貼るために、初めてゴールドプレートの方法を考案した方だという。だから、工房で作業が始まる前には必ず供え物を用意して、いい完成品ができるように、Sayar Mon 氏への祈りを捧げるという。
     工房は金を叩く音で年中活気に満ちている。上半身裸の職人たちは、精錬した金が貼られた紙片を、一枚ずつ5時間程度金槌で打つ。その前工程として金の塊を全て用器に入れて火を通す。火力を利用し金の塊を薄くする。そして焼いた金をさらに薄くして、適宜のサイズにする。それから30分間叩く。極限までフラットにするのだ。そこで、初めて金箔制作の作業が開始される。 ゴールドプレートを作るには竹の紙のみを使用する。ビルマ語で「Tin war」という種類の竹が用いられる。この竹紙を作るにしても細心の注意が必要だ。何年間か寝かせた竹を薄く切って石灰(せっかい)水に浸ける。水を調整しながら混じりけをとる。その後、水槽の底に堆積するまで待ち、水分を取り除く。
     3日程経つと竹の芯が乾き、紙の状態になっていく。その紙を取りだし、銅板の上でさらに薄くなるように叩く。この作業は風が入らない部屋で行うという。風が吹くと紙が破損する恐れがあるからだという。金箔のプレートを作るために必要な紙にしても、これほど大変な工程を経なければならないので、現在はサガインのDaung Ma村で製造された紙を使用する場合が多いという。
     マンダレーに来る外国人観光客は、MahaMyatmuni パゴダを訪問する前に、このMyat Par 区を訪れる方が多くなったと、Ga Lon Min 金箔工房のオーナーのMa MyintMyintPyone さんが教えてくれた。
     ガイドブックにも紹介され、伝統の金箔作りが注目を浴びてきたからだという。彼の工房も観光客が見学できるように、初めからその工程を公開しているそうだ。かって、タイのThiri Don 王女が見学に訪れたこともあるという。
     しかしこれまでは、仏像や仏塔などに貼るための金箔を作っていたが、最近は漆器や伝統工芸品などに貼る用途の金箔制作にも乗り出し、国内に供給しているという。
     ちなみに観光客の多くは、この極薄の金箔をパゴダに貼るための寄進というよりも、健康にいいので食品用に購入する傾向があるという。チョコ、ケーキなどに入れたり、ワインに入れて飲む習慣があるという。
     ミャンマー人は、金箔を貼ったバナナを食べたり、伝統的化粧品のタナカに入れて肌に塗る方もいる。化粧法では顔に金を入れるという方法も人気なのだそうだ。 現在、金箔作りは手作業と機械による制作が行われている。マンダレーのMyat Par 区のゴールドプレート工房はすべて手作りの製品である。海外からの輸入機械を使った制作技術は時間が短縮され、生産量も増えるので価格も安く抑えられるという利点はあるが、金箔作りには竹の紙の工程もあり、時間や手間ヒマははかかるが、手作業とでは品質の違いに差が出るという。
     しかし大量生産された輸入品を使っているパゴダもあるので、Myat Par 区のゴールドプレート工房の存続に関して、将来への不安が残る。時間や労力を必要とするミャンマーの伝統工芸品は、これからも継続、保護されていってほしいと願うばかりだ。

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