特集 「ミャンマー観光銀行」頭取に就任した観光業界の重鎮 中小の観光業者の支援に力を入れ年間700万人を目指す

去る5月6日に、Pyay Rd のNovotel Hotel近くにオープンした「ミャンマー観光銀行」(Myanmar Tourism Bank)の開所式には、ピョー・ミン・ティンヤンゴン管区首相やオン・マウンホテル観光省大臣をはじめ、そうそうたる要人たちが列席した。

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    U Yan Win
    ヤン・ウィン
    Myanmar Tourism Bank Chairman
    Myanmar Tourism Federation Chairman
    A1 Group of Companies Chairman

    去る5月6日に、Pyay Rd のNovotel Hotel近くにオープンした「ミャンマー観光銀行」(Myanmar Tourism Bank)の開所式には、ピョー・ミン・ティンヤンゴン管区首相やオン・マウンホテル観光省大臣をはじめ、そうそうたる要人たちが列席した。「観光銀行」と聞いても、他国ではあまりなじみがないかもしれないが、国を挙げて観光産業の発展に力を入れるミャンマーでは、観光産業界を支援する画期的な金融機関といっていい。 
     目的は、ミャンマーの観光関連事業へ金融サービスを提供することだが、ミャンマーでは初めて観光に特化した銀行。本店はヤンゴンになるが、国内ではネピドー、マンダレーほか、ムセ、ミャワディーのタイとの国境ゲート付近にも支店を開設する予定で、今年中に10支店の開設を目指している。
     同銀行はミャンマー観光連盟(Myanmar Tourism Federation)に加盟する旅行業者らによって共同で設立され、資本金は220億Ks(約16億7千万円。年間収益の5%が各地の観光セクター発展のために寄付される。
     今回、この「ミャンマー観光銀行」の頭取に就任したのが、長らくミャンマー観光連盟の会長を務め、この国の観光産業の発展のために尽力してきたA1 Group of Companies の会長でもあるU Yan Win氏である。
     A1 groupは、建設業を核に10を越すグループ企業を有するこの国有数の財閥企業である。そしてこの会社が一躍脚光を浴びたのは、「ティラワSEZ」の事業主体となる「MJ Thilawa Development」の最後の3社に選ばれたことだった。A1がこの事業主体会社の一員に選ばれたのは、ヤンゴンのシンボル「サクラタワー」(鴻池グループと共同)や日本大使館公邸(鹿島建設と共同)などの重要施設の建設に関与してきた実積もあるが、ティラワ参入にあたり、前田建設とともに、事業主体会社の国際契約書を十分に吟味し、その基準に沿った体制を整えたことも抜きにはできない。
     その陣頭指揮を執ったのがYan Win会長で、彼は早くから日本の技術力や建設材の優秀性を認識し、ヤンゴンの主要施設の建設プロジェクトに参入している。しかもご自身は観光連盟の会長としての職務だけでなく、ミャンマーサッカーリーグでクラブチームを所有するなど、スポーツ振興の面でも大きな支援をしている。
     「今回の観光銀行の頭取に選ばれたことは光栄です。銀行の設立構想は前政権時代から何度もお願いしてきましたが ここへ来てやっと開業の運びとなったのは非常に喜ばしいことす。」
     Yan Win会長はまずこう言って就任の感想を述べた。しかし ミャンマーの観光業界は、今非常に厳しい状況にある。昨年のイスラム系難民問題による欧米メディアのネガティブ報道で欧米観光客が減り、昨年は観光客は300万人に落ち込んだ。
     「確かに色々原因はあります。数字的にいえばタイの3000万人の10分の1です。ですがミャンマーだって観光資源ではタイに負けてはいません。問題は国に予算がないから観光イベントやプロモーションが満足にできないことも原因のひとつなんです。」
     そこで政府は昨年、日本、韓国、中国人への観光ビザを廃止した。1年限定といわれたが、さらに延長の予定だという。それどころかヨーロッパの6か国もビザを徹廃した。また、以前はかなり面倒だった出入国カードの提出も廃止した。
     「その成果が出てきています。今年に入って観光客は増えてきていますよ。ミャンマーには国内企業が2645社合弁会社が41社そして外資1社の旅行会社がありますが、そのうち約70%が中小です。だから観光客が減ると打撃を受けやすい。今回の観光銀行の大きな目的は、こうした大多数の中小の観光業者、旅行業者への金融サービス支援になります。もちろん預金業務など通常の金融サービスの提供も行います。」
     ミャンマーホテル観光省は最大規模の「ミャンマー観光連盟」を始め、11もある観光関連団体と協力して、観光の発展に取り組んでいるが、開所式に同席した管区首相は「今回の観光銀行は新しい観光地を作ることと、人材の能力開発に向けた取り組みにも期待」と、歓迎と協力の挨拶を残した。
     「観光旅行には旅行ローンも提供する。観光分野のニーズをサポートするための支払いに関するソリューションの準備もしています。当面の目標は年間700万人の観光客を誘致すること。そのためにはこの観光銀行の役割が重要になってくると思います」
     割高な国内航空運賃、サービス業へ意識向上など、ミャンマーの観光業にはまだ課題が少なくないが、いずれにしても観光銀行という金融支援組織を通じて、ミャンマーの観光産業の発展を心から願うばかりだ。

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