ミャンマー、タイ、カンボジアのメコン諸国の新年 「水かけ祭」の楽しみ方と豆知識

ミャンマー、タイ、カンボジア、ラオスなどの東南アジアのメコン地域や中国雲南省南部地域では、おおむね4月に新年を迎える。そしてその祝祭ともいえる「マハ・ティンジャン」(ビルマ語)という水掛け祭りが行われる。

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A Happy New year! Thingyan

今月はミャンマーの新年の最大のイベント「ティンジャン」(水掛け祭り)が行われる。日本でも知られるようになったこの「Water Festival」は、毎年、狂乱のパフォーマンスが繰り広げられる。そこで今回は「南伝上座部仏教国」であるミャンマー、タイ・カンボジア、ラオスといった国々における祭りの様子を含めて、この「ティンジャン」の総合的情報をお届けする。

俗卋の汚れ、悪事、不幸を水で清める

 ミャンマー、タイ、カンボジア、ラオスなどの東南アジアのメコン地域や中国雲南省南部地域では、おおむね4月に新年を迎える。そしてその祝祭ともいえる「マハ・ティンジャン」(ビルマ語)という水掛け祭りが行われる。
 タイではサンスクリット語で「ソンクラーン」と呼ばれ、ミャンマー、タイは4月17日に新年となり、その前数日間は水を掛け合う盛大なお祭りとなる。カンボジアの場合は、1月のインターナショナルニューイヤー(日本や欧米諸国などの世界共通の正月)と、2月にある中国歴の旧正月、そして4月の「クメール・ニューイヤー」と年に3回も正月がある。むろんどれもちゃんとした祝祭が行われるが、一番盛り上がるのはやはり「クメール・ニューイヤー」である。開催日は毎年日にちが異なり、占い師が最高の日を決定するが、通常は4月の半ばが平均的で、2018年は4月14~16日に行われた。タイ・カンボジア、ラオスといった国々では、各国の事情に応じてそれぞれ独自のバージョンの祭りのスタイルがあり、共通しているのは水を掛け合うということだろう。
 しかし、この祭りではなぜ水を掛け合うのだろうかという素朴な疑問もわいてくる。簡潔に言えば、水は清涼感があり、人々は思いやりの心をこめた水を使って相手の悩み、苦しみなどの俗世の心の悪火を消し去り、また、旧年の不幸や汚れをその水で流して綺麗な体で新年を迎えるためだといわれている。

遥かバガン時代から続く伝統祭り

 今年のミャンマーの新年は4月17日で、その前4日間13~16日が水掛け祭りとなる。この祭りの起源はバガン時代にさかのぼり、仏教徒ではなく、ヒンドゥ教徒から始まったという説が有力だというもからこれは意外だった。
 その昔、古代ブラマス国の王アリスが宿敵のデバス国の王サクラ(Thagya Min)との賭け事に負け、首を切られて象の頭に飾られたという伝説が残るが、どうもこれが水祭りの発生に起因するらしい。アリスは特異な力の持ち主で、切られた首が海に投げられても、海水はすぐに枯渇。さらに大地に捨てられても地は焼け焦げ、天空に放り投げても空は炎になり爆発したという。そこで王サクラは仕方なく、アリスの頭を毎年、女神によって葬るように定めた。新年にその儀式を行うことが慣習となり、これがのちに「ティジャン」になったという説が有力だ。
 「ティンジャン」はキリスト教の安息日に似ている。日常の所業の反省をする日である。若いココナツ椰子の実に緑のバナナの葉を巻きつけた供物を修道院の僧侶の前に捧げ、古代のビルマの王たちは、モン州のモーラミャン沖にあるマルタバン湾Gaunsay Kyun(頭を洗う島という意味)から取り寄せた清水で、頭を洗う儀式を行ったという。
 この祭りのことをミャンマーでは「ティンジャン」(Thingyan)と呼ぶが、この言葉はパーリー語の“サンカンタ(Sankanta)”に由来しており、太陽が魚座から牡羊座に移動することを意味しているという。ミャンマー人にとっては一年でもっとも重要なイベントであり、この期間は太陰暦によって計算されたものなのだ。
 ミャンマーではこの期間、国内各地で「マンタ」というステージが作られ、そこから放水したり、されたりで大騒ぎになるが、音楽、ダンスで夜遅くまで盛り上がる。
 女性たちは顔にタナカを塗り、髪には黄いパダウの花飾りつけておめかしする。若い男たちはタンジャットというチョッキを身に着け、ラップのリズムで世俗の批判をセリフにした歌を即興的に歌う。
 民衆の日ごろの鬱憤を吹き飛ばすためのイベントでもあり、水で滑りやすくなった道路でのスピードの出しすぎや、飲酒運転も増えて、多数の死傷者が毎年報告される。酔っ払いの喧嘩も少なくない。しかしながら、一般的には、とても友好的である。
 2日目は「a-kyonei」と呼ばれ、この期間は仏教の守護神であるダジャーミン(帝釈天)が地上に降りて来て、人々を身近で見守るという言い伝えもあるという。そしてその精霊が今年はどんな動物に乗って舞い降りてくるかなど、種々の予言が行われるのもこの祭りの恒例だ。例外的に「a-kyanei」の前日には、水を掛けない。
 4月は年間でもっとも暑い酷暑の時期でもあり、大量の水によって体感温度も下がる。ステージに有名人がいたりすると、そこに向かって、氷水のビニール袋を投げつけられたりするが、最近では大都市では散水用や消化用のホース、竹の水鉄砲などでエスカレート。水を掛け道具であれば何でもありの様相になってきた。
 しかし、僧侶や妊婦、郵便配達人などには水を掛けないという暗黙のルールもある。期間中は熱中症と日焼けによる火傷(実際になった人もいる)と、水濡れによる機械類の故障に注意すべきだ。また。かけられる水は、例えばヤンゴンの場合はカンドージ湖、インヤー湖やヤンゴン川などの水が多く、水質は汚く、帰宅したらすぐにシャワーが必要だろう。当然だが、女性がビキニ姿になるのは宗教上の理由でご法度だ。

僧侶、妊婦、郵便配達人には水はタブー

 この水掛け祭りの期間はダンスグループやコメディアン、映画スター、歌手なども繰り出して大騒ぎになる。民民政移管以前でもこの期間に限っては、政府は集会禁止令を解くなど寛容な政策を打ち出していた。
 ヤンゴンではかっては「Kadawgyi」(カンド
ージ)湖の周囲にたくさんのステージが沢山設けられていたが、数年前からその数がめっきり減った。「KabrAyePagoda」(カバエ―パゴダ)通りやPyayRd.といった幹線道路のインヤ―湖付近には、まだ大きなステージが設けられ、交通規制も敷かれる。路上でのパフォーマンスが許可されており、有力企業や金持ちの方々が寄付して作られたステージ前は、本当にすさまじい騒ぎになる。
は「a-tetnei」といい、いよいよ精霊ダジャーミンが天に帰る日で、水掛祭りの最終日だ。この時は「タジャーミンは忘れ物をした。取りに帰ってこい」’と叫びながら、最後の水掛けを楽しむ。
 ちなみに、水かけ祭りの間、「モン・ロン・イェイバウ」という米のおにぎりが振舞われる。甘いやし砂糖で味付けされ、若者たちが進んで作業を行うが、いたずらが興じて辛い唐辛子をいれ込むこともある。また、ヤンゴン、マンダレー、ラカインなど、地方によっては祭りの様相も異なってくる。
 この祭りはどうしても最大都市ヤンゴンに注目が集まるが、発想を転換して地方で楽しむのもいい。なぜなら、地方の町ではステージが数か所に集中しており、見物するのに便利だ。またその地方の民族特有の踊りや歌なども聞けるから外国人は楽しめる。
 ともあれ、まだ水かけ祭りに参加したことがない方は、一度は体験してみることを勧める。その場合はローカルの人々と同じ気持ちと目線で参加して、“馬鹿”にならないと本当に楽しむことはできない。

 パダウ(Padauk)はこの時期にのみ開花するミャンマーのシンボルのような黄色の花で、女性が髪につけたりしており、誠実と忠誠の象徴とも言われ、日本の桜と同じように開花の期間は短い。

水祭り参加時の注意点

●服装はずぶ濡れ覚悟の軽装でサンダル履きで
●携帯、財布などは防水のビニール袋に入れる。
●頭にかけるタオル持参。目や耳に水が入るのを防げる
●かける水は湖水などを使用。帰宅したらよくシャワーする。
●軽トラの荷台に乗ってのステージ巡りが迫力ある。

<バンコクの水欠け祭り情報> 水掛け祭りはタイ全土で開催されているが、首都バンコクでエキサイティングな祭りに参加したければ、次の3つの 拠点をおさえておけばほぼ完璧。 <伊勢丹前> 伊勢丹(セントラルワールドプラザ)の前には広場があり、そこで企業が開催する水掛けイベントが楽しめる。大群衆 がいるわけでもないため、適度な賑やかさのなかで祭りを楽しめる。人体に無害の泡を噴射するコーナーや、水が 天井から吹きかけられるコーナーもあり、伊勢丹に入ればトイレも使用できるため、非常に便利だろう。 最寄駅:スカイトレインのチットロム駅から徒歩約5分 <シーロム地区> タイ人の冷水ぶっかけ、欧米人の強力な水鉄砲放射、道路に特設されたアーチ型の放水器、消防局の放水車など、 まさにあらゆる水の洗礼を受けることができる。世界中から人々が集まる。最寄駅:スカイトレインのサラデーン駅、 または地下鉄シーロム駅から徒歩圏内トイレ:ホテル『デュシタニバンコク』、または商業施設 <カオサン通り> 欧米人が多い地区。狭い通りに大勢の人々が集まるため、一度通りに入ったら長時間抜け出せないかもしれない。 そのぶん大量の水をかけられ、エキサイティングな体験をする。カオサン通りに隣り合わせてワット・チャナソンクラ ームと呼ばれている寺院があり、その側面を走る路地は、穏やかな雰囲気のなか祭りを楽しめる。 最寄駅:水上バスのプラアーティットピアー駅から徒歩10分トイレ:ホテルが宿泊客にしかトイレを使わせないケー スもあるため、マクドナルドやバーガーキングなどのトイレを使用。
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