特集「南部経済回廊」を往く ダウエー~ホーチミンの走行時間31時間 将来的には1日で「回廊」を走破可能になるか ダウエー~タイ国境間を残すのみとなった道路状況

2018年10月23日から27日にかけて、東南アジアの「南部経済回廊」をミャンマーのダウェーからタイ・バンコク、カンボジア・プノンペン、ベトナム・ホーチミンと陸路移動し、道路状況を確認してきた。特にダウェー経済特区(SEZ)との関係性に焦点を当て、肌で現状を把握してきた。

目次

ダウエーからホーチミンまでの行程

 ルートとしてはミャンマーのダウェーを出発し、国境近くのティキを経由しタイに入国。カンチャナブリを経由してバンコクで一泊した。翌日また国境近くのアランヤプラテートで一泊し、余り芳しくない評判のポイペトでカンボジアに入国。プノンペンに向かい一泊した。それから国境の町バベット迄行き、ベトナムにモックバイで入国し、一路ホーチミンへと向かった。因みにタイ・バンコク近くのアユタヤ県からベトナム・ホーチミン迄はアジアハイウェイ1号線(AH1)と重なっているルートである。

視察行状況

 23日早朝、5:30にダウェーをハイエースで出発した。ダウェーから国境までの約1/3の距離にあるミッタ村に1時間半で到着し30分の食事休憩を取る。ダウェー=ミッタ間の道路はタニンダリー管区がほぼ舗装を完了していて片側1車線の2車線道路となっているが、途中カーブが急な場所を緩やかにする工事を行っていたり、橋の前後の舗装を行っている場所が何か所かあった。
 ミッタを出て直ぐの午前7:25に外国人がIDを提示しなければならないミッタ審査場を通過し、11:20には国境の町ティキに着いた。ミッタからの道路は未舗装で、雨季明けで所々がけ崩れが発生していて何とか車一台通れるようには補修してあったが、状態が悪く、6時間近く掛かった。

 因みに、ダウェー経済特区(SEZ)からの道は別途このミッタに接続し、その後国境のティキ迄タイのローン46億バーツで整備される予定である。小さな橋やがけ崩れ箇所も整備されることになる。
 ティキで出国手続きを済ませ、タイ側国境の村プーナムロンまで行きタイの入国手続きを行う。日本人はパスポートの提示のみ。ミャンマー人はVISA無しでカンチャナブリ地域まで行けるが、バンコク等その他の地域へはVISAが必要なため事前に取得していた。
 また審査場で500米ドルの現金提示を求められた。プーナムロン村でバスに乗り換えた。13:00発のカンチャナブリ行きバスで1時間半足らずでカンチャナブリに到着した。バンコク行きのバスが15分で出るとのことで、それに乗り換えた。
 プーナムロンからカンチャナブリの間は国境からの山道側が片側1車線の舗装道路。途中で主要道路に合流し片側2車線、所々片側3車線の道路となる。ここからバンコクまでも片側2車線または3車線となる。夕方5時前にはバンコクのホテルに到着した。国境から4時間足らずであった。
 24日は午前中バンコク市内を見物し、午後4:30に、北にあるモーチットバスターミナルに集合した。バンコクからアランヤプラテートまでは250km程しかないが、午後6:00バンコクを出発し、アランヤプラテートに午後11:00頃到着した。搭乗者が数名だったので、旅行社が小型のバスに交換しようとして出発が30分遅れが、元のバスに乗車した。道路は整備されていたが、バンコク都市部の渋滞で、5時間近く
 掛ったことになる。アランヤプラテートで一泊した。

 25日、朝6:30頃にホテルからトゥクトゥクで国境に向かい15分程で到着した。国境は旅行者、商人及び色々な乗り物でごった返していた。タイの出国審査を済ませ、朝7:30には国境を越えてカンボジアのVISA発給所に到着した。既定の30米ドルを払ってアライバルVISAを取得した後、入国審査場に向かう。ミャンマー人はVISA取得が不要であるが、何故か入国審査窓口で100バーツ支払わされていた。因みに、ミャンマー人がタイに再入国する際VISA代が1200バーツ必要とのことであった。
 8時前にこの国境からポイペト市内のバスターミナルに向かう無料シャトルバスに乗り込む。周りに集まってきた数名の者が「このバスは違う」とかいい加減なことを言ってきたが無視した。流石悪名高いポイペトというところである。ただ今回一部ウェブサイトに散見されたような余分な追加料金は取られなかったので、ある意味良かったのかもしれない。

 ポイペトのバスターミナルで9:00発のプノンペン行バスに乗車する。
 入国審査場のバス停から付いてきた現地人がバスがとあるバス会社に案内したが、他会社のバスチケットが安かったのでそちらを購入したら悪態をつかれた。
 こちらのバスは出発後2、3分で一つ目の停車場に着いたが、どうやらこの旅行会社のポイペト支店前らしく、荷物の詰め込みと乗客の搭乗待ちで、9時40分になってやっと出発した。
 片側1車線の道路は、至る所で片側2車線への拡張工事を行っており、これが原因で渋滞、若しくは速度が出せずプノンペンまで非常に時間が掛かった。ポイペト付近ではコンテナ倉庫も見受けられた。また、カンボジアではマイクロファイナンス事業が発達し、一般的となっているようで、道の両側に多くの事務所が見かけられた。

 バタンバン手前で午後1時近くになり、とある停車場で昼食を取ることになった。しかし、屋台と変わらない作りで、食事も相当香辛料の効いた風な料理だったので、同行のミャンマー人は食べたものの、そこで食べることはできなかった。
 街中は片側2車線の道路であったが、市中心を離れるとプノンペン郊外まで片側1車線の道路が続いたので、トゥクトゥクやバイクが走っていると多少追い越しに手間取っていた。夜7:30にプノンペンのバス停に到着したので、結局10時間半掛ったことになる。プノンペンで一泊した。
 26日、昼1:30のバスに乗り込みホーチミンへと向かう。出発は少し手間取り1時50分だった。プノンペン市内は片側2車線の舗装路であるが郊外に出ると路肩の少し広い片側1車線の舗装路となった。
 プノンペンから1時間半程で大きな橋を渡ったが、これがメコン川に架かる「つばさ橋」だと後で判った。同じような道が延々と続き、午後4時半頃から荷台に人を満載したトラックと何台もすれ違うようになった。調べてみると、カンボジアのバベット近郊にマンハッタン経済特区、タイセン経済特区等の経済特区が数か所あり、そこから帰路に着いた労働者を市内に運んでいるものらしかった。

 カンボジア側の国境近くにはカジノが数軒以上あったのを見かけた。午後6:00には国境について出国をした。更に30分程でベトナムの入国審査も終えて、ホーチミンに向かう。ベトナム側はかなり整備されていて、殆ど片側2車線道路となっていた。ホーチミンのバスステーションに午後8:00に着いたので6時間強の道のりであった。翌日ホーチミンを後にした。

考察
 今回の視察を経て、改めてティキ(ミャンマーータイ国境)からダウェーSEZまでの道路の重要性を確認することができた。
 ティキに隣接するミャンマー-タイ国境から、バンコク、アランヤプラテート、ポイペト、プノンペン、バベット、モックバイ、ホーチミンの旅では、一部道路補修中の箇所があったとはいえ、ほぼアスファルト舗装は完了しており、また平坦な場所ばかりで、40ftのトレーラなどの登坂が危ぶまれるような急な坂とかは一切なく、以前はフェリーだったというメコン川も橋梁化されており、問題なく通行できた。カンボジアで現在行っている片側2車線化の工事が進めば更にそのあたりでの運送の高速化に期待できる。またたまに40ftの海上コンテナを積載したセミトレーラーを見かけ、この区間では現在でも十分実用に供することができると考える。今後ダウェーまで開通すれば、全線片側2車線化の動きがでてくるのではと期待するところである。
 現在、タイのローン46億バーツで着工が予定されているのはティキ-ミッタ-ダウェーSEZの既存道路を片側1車線舗装道路に整備する計画であり、雨期明けから整備が本格的に進められることになっている。今回10月23日に確認できたのは、請け負っているイタリアンータイ開発会社が、途中土砂崩れが発生した場所を一時的に補修していた跡だった。
 また、途中のいくつかの橋は掛け直されるとして3ヶ所程急な勾配がある箇所があり、そこをイタリアン-タイ開発会社がどの程度改修してくるかで運送のスピードが変わってくると思われる。将来的には日本の片側2車線道路が世界高規格水準でできることになっているので、大幅な陸上流通量の向上が見込める。
 東南アジアの「南部経済回廊」は、今のところベトナムのブンタウ、ホーチミン、カンボジアのプノンペン、ポイペト、タイのバンコク迄繋がっているというのが常識であるが、実際にはタイのカンチャナブリを経てミャンマーとの国境の村プーナムロンまで舗装整備が完了している。そして、これから整備されるミャンマー側のティキからダウェーSEZ間が道路整備されれば、東南アジアの東西を結ぶ真の「南部経済回廊」が完成する。
 実際にバスか車に乗っていた時間を合計すると、ダウェー-ティキ6時間、プーナムロン村-バンコク4時間半、バンコク-アランヤプラテート5時間、アランヤプラテート宿から国境(ポイペト)約30分、ポイペト-プノンペン10時間半、プノンペン-ホーチミン6時間を合わせ、32時間であった。
 実際にはこれに入出国の審査時間が加わるのでもう少し掛かっている。トレーラ等の輸送であれば、このバスよりもっと早く移動できそうであるが、税関手続きその他が非常に時間を取っているようで、今検討されている各国境間での越境交通協定(CBTA)次第で全体の輸送に必要な時間は大きく変わると思われる。越境交通協定の早期締結が望まれる。

表1.掛った時間

表2.費用

まとめ

 現在、ダウェーからバンコク、プノンペン、ホーチミンと入出国審査時間を考えなければバス及び車の乗車時間で31時間かかる。今回ダウェーSEZ-ミッタ間は通らなかったがダウェー-ミッタ間と同程度とすると、この内、6時間がダウェーからタイ-ミャンマー国境のティキ迄の所要時間になり、舗装整備によりかなりの短縮が見込める。また、残りのタイ-ミャンマー国境プーナムロンからホーチミン迄は急勾配も無く舗装はほぼ完成していて、一部では片側2車線化の工事をしているような状況であった。ダウェーSEZ-ティキ間の舗装整備の重要性を再確認することができた。

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