第15回 ミャンマー人の肖像 ピヨー・ウィン・トン タニンダリー管区政府経済計画大臣兼 ダウェイSEZ開発副委員長

「南部経済回廊」でメコン諸国との関係性が増す将来性十分の管区 東南アジア最大級のSEZに日本とのパートナーシップ強化を期待 忙殺されるスケジュールの中で、大臣は快く弊紙のインタビューに応じてくれた。ネピドーでの中央政府との会議の後で、ダウェイへの帰途につく乗換え時間の合間に、ヤンゴン空港で貴重なお時間を頂戴し、当該担当大臣に「ダゥエイSEZ」やインフラ整備など管区内の動きを中心にお話を伺った。

目次

メコン諸国から熱い視線を浴びる

 ミャンマー南東部に細長く広がる行政区がタニンダリー管区である。西はアンダマン海、東と南はタイのマレー半島部、北はモン州に接し、管区都はダゥエイ。他の主要都市はベイ(英:Mergui)及びタイとの国境の町でミャンマー最南端に位置するコータウンなどが有名で、タニンダーリ管区は、この3地区と10郷から構成されている。
 管区総面積は4万3328平方㌔メートルで、近年、ヤンゴンのThillawa SEZとともにDaweiSEZの開発でクローズアップされてきた。しかしThillawaと決定的に異なるのは、ダウエイがベトナムのホーチミンまで網羅する「南部経済回廊」の西の基点となることだろう。そのためミャンマーのみならず、メコン周辺国からの期待感も半端ではない。
 それを裏付けるように、管区政府国務大臣首相補佐官の岩澤康晴氏によると、2017年には在ミャンマーにある各国大使の訪問がわずか1人だったが、昨年はフランス大使、イタリア大使、カナダ大使(以上G7、)中国大使(以上G20)タイ大使、ベトナム大使、チェコ大使がダゥエイを来訪したという。むろん、大使級以外の要人数はさらに増したそうだ。
 タニンダリー管区訪問には基本的に1泊を余儀なくされるが、それでも各国のVIPが視察や会談のために訪れる背景には、それだけこのタニンダリーの将来性を注視しているからだろう。

SEZには3つの大きな インフラの動きが

 そうした将来性が注目を浴びるのは何故か。それはとりもなおさず「ダゥエイSEZ」や「南部経済回廊」最期のピースであるSEZとタイ国境のティキ(国境)へ繋がる道路の拡張工事計画が決定し、日本政府が作成している「タニンダリー開発プラン」(都市計画)も完成が間近になっていることなどが上げられる。
 そう考えると2019年はタニンダリー管区にとってまさに熱い年になるに違いない。そこで今回タニンダリー管区政府経済計画大臣兼ダゥエイSEZ開発副委員長のピヨー・ウィン・トン氏にこのあたりの進捗状況について忌憚のないお話を伺った。

 ――Q 2018年度は「ダゥエイSEZ」の話題が現地では進展しているように感じましたが日本人社会としては、まだまだという声が聞こえます、実際の状況を教えて頂けますか?
ー大臣 ダウェー開発に関しては、大きく3つのインフラの動きを感じています
 1点目は道路。南部経済回廊、国境の街ティキからダゥエイ迄の道路がタイのバーツ借款での工事が決まり、現在準備中であります。道路が完成すれば、輸送手段が大幅に伸び経済が大きく発展する見込みです。
 2点目は都市計画です。現在日本政府がタニンダリー管区の「タニンダリー開発プラン」(都市計画)を作成しており、完成目前になっています。「タニンダリー開発プラン」が完成すれば、さらなる経済発展が見込めます。
 3点目は電力でしょう。今年度2月には、フランスの石油メジャートタル社とドイツのシーメンスが共同で、ダゥエイSEZの北部に、1230メガワットの液化天然ガスの発電所設立に調印しました。2021年迄にまずは半分の615メガワットの稼働を目指し現在FS(フィジビリティースタディー)が始まっている、担当者によると海外から出来上がったプラントを運び、現地で組み立てるため工事期間が短期可能になっています。
 ――Q なるほど、想像以上に動きがあるようですね。私も昨年10月にダゥエイを訪問しましたが、飛行機が平日でも満席が続きチケット購入が困難だと実感しました。またタニンダリー管区訪問には基本的に1泊を余儀なくされますが、それでも各国のVIPが視察や会談のために訪れる背景には、それだけこのタニンダリーの将来性を注視しているからとも感じましたが。
 ー大臣 その通りです。ヤンゴン~ダゥエイ及びベイ、コータウンの航空券は現在非常に取りにくい状況になっています、色々な企業がダゥエイに来ているからです。こうした企業の方々にお伝えしたいのは、「ダゥエイSEZ」に関し、前述したように経済特区はインフラ整備を実施中です。東南アジアでは最大の経済特区で開発ポテンシャルがある。現在、タイの「イタリアン・タイ社」(ITD)にデベロッパーとして27スクェア㌔mの開発を許可し、残りのフールフェーズはタイ、ミャンマー、日本の3ヵ国の政府が協力して推進中です。
 日本政府と日本の企業の方々は、ミャンマーの重要なパートナーであるとともに支援者でもあります。我々の経済特区は、日本のためにも利益をもたらすものではなくてはならいと考えています。ダゥエイ経済特区開発に日本政府、日本の企業が協力することで、そうなる可能性を大い秘めたSEZだと思っていますよ。タニンダリー管区のみならず、ミャンマー政府と国民も期待しています。

東南アジア最大級の リゾート開発への期待

 西のラカイン州のガバリはすでにリゾート地として有名だが、タニンダリ―管区は西側全てがアンダマン海に面しており、ベイを拠点とした800以上の島々からなるメルギーー諸島は、将来、東南アジア最大級のリゾートになる可能性を秘めているようだ。そのためにはインフラを含めた整備は必要で、ホテルやリゾート施設への投資も期待できるだろう。
 ―Q 観光業という点でいえば、メルギ―諸島の美しい自然を持つタニンダリーは、将来的には、タイのプーケットやサムイ島などと並ぶ珠玉のリゾート地になる可能性を秘めているのではないか。管区政府としてはこのあたりをどのように考えていますか。
 ー大臣 メルギ―諸島には大小約800以上の島があります。綺麗なビーチ、山脈、島々はその多くが手付かずの自然が残された、いわば未開発の島々です。一部の島には人が住んでいます。無人島ですが観光業の開発が可能な島もあります。一部の島ではすでに観光リゾート開発がスタートしているところもありますよ。現状ではまだインフラの整備が間に合わないのですが、インフラを含めた総合的な投資ならば管区政府としても大歓迎いたします。」

タニンダリー管区の将来性が 注目を浴びるのは何故か。

 ――Q 未開発の部分が多いということは、将来的にはそれだけ開発、発展の余地を残しているということでしょうか。
 ー大臣 そうでしょうね。ダゥエイ経済特区を含め、管区内は豊富な自然に囲まれており未開発の部分も少なくないですから、その将来性は確実に注目されてきています。しかも、『ダウェイ経済特区』は広さ約4万8000エーカーもあり、完成後は東南アジア最大の経済特区になります。そして、忘れてはならないのは、ダゥエイがこの『東西経済回廊』の西の基点に位置していることです。
 それに、ダゥエイ港はインド洋とタイ湾岸を最短ルートで繋ぐ重要な貿易港になります。電気を安く供給できる利点も私ども管区の魅力のひとつになりますよ。
 ――Q なるほどメコン諸国のみならず、アジアの主要国がダゥエイに熱い視線を送る理由は、こうした地理的優位性が大きいのでしょうね。では、タニンダリーは漁業や水産業も強いと聞きましたが。
 ー大臣 タニンダリー管区にはダゥエイ地区(Dawei District),ベイ地区(Myeik District),コータウン地区(Kothaung District)の3つの主要な地域があり、管区の西側は全てアンダマン海に面しています。そのため天然資源が豊富で、鉱山業,水産業、農業や観光業の発展が期待されています。
 中でもベイを中心としたエリアは漁業及び水産業がミャンマーで最も盛んな地区です。ベイ地区には1,100隻以上のオフショア漁船と5,200隻の近海漁船を有し漁業、水産業が盛んで、ベイだけでも年間8,000トン以上の海産物を輸出しており、今後外国の企業と水産業の取組みが行われることで、更なる発展が期待されています。
 ――本日はお忙しいところありがとうございました。
 まだ41歳若さで管区政府の要職にある大臣はべイ出身で、タニンダリーのことには精通した地元の方である。それだけにこれまであまり伝わってこなかったタニンダリー管区の動きがよくわかった。今後の大臣の手腕に期待したい。  

タニンダリー管区経済計画大臣 兼 ダゥエイSEZ開発副委員長 プロフィール

氏名    Phyo Win Tun (41歳)
出身地    タニンダリー管区ベイ
家族構成   妻、子供4人
経歴     タニンダリー管区ベイでのビジネスを得て2015年の総選挙で初当選。2016年4月タニンダリー管区財務計画大臣に任命され現職。ダゥエイ経済特区工業団地開発副委員長兼務
日本との関係 2016年12月に、国務大臣タニンダリー管区訪問団の一員として訪日、首相官邸にて内閣総理大臣補佐官、内閣府大臣室にて地方創生大臣(当時)、自民党本部にて自民党ミャンマー議員連盟との会談に参加。2017年4月にも2回目の訪日、首相官邸にて内閣総理大臣補佐官、内閣府大臣室にて地方創生大臣(当時)、自民党本部にて自民党ミャンマー議員連盟と、2度目の会談に参加。地方都市は四日市市、北九州市など公害問題に強い都市を訪問し、ダウェーSEZの開発にとって切り離せない公害問題に取り組む

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