特集 特別企画 洪水災害に手をこまねいている状況ではなくなってきた 森林消滅などを防ぐ法律を改定し厳しい管理が必要に

今年7月、日本でも西日本は未曽有の豪雨に見舞われ、甚大な洪水被害を被った。その後8月にはなんと台風20号が襲来するという異常な気象状況になった。こちらのミャンマーでも7月から8月にかけて、洪水による大きな被害が出ている。7月29日にモンスーンによる大洪水で、16名が死亡、15万人以上が避難を余儀なくされた。そこでアジアを中心としたこの地球規模の洪水災害を今一度検証してみた。

目次

過去25年以内に90万エーカーの森林が消滅

 今年のミャンマーの洪水被害は、実際の死亡者の数は発表された数字よりも多いと予想されている。それは被害が大きかった地域において、洪水が救助隊の到着を遅らせたことにあるという。被害が甚大だったバゴー地方では、約70の学校が閉校に追い込まれた。
 シャン州北部では60mのコンクリート橋の一部が豪雨により流され、ヤカイン州中心部の水田や道路も大きな被害を受けた。国家自然災害管理部(National Natural Disaster Management Department)は、モン州、ヤカイン州、バゴー地方域、タニンダーリー地方域、マグウェ地方域で2万5,000世帯11万9,000人以上の被害が出たと発表している。他にもエーヤワディ地方域、ザガイン地方域、首都ネピドーでが洪水災害に見舞われたという。
 特に今回の被害がひどかったバゴー地方域では7万人が150の避難所へ、ヤカイン州では2万5,000人が67の避難所へ、モン州では1万5,000人が50の避難所へ、タニンダーリ地方域では6,000人が11の避難所へ移動している。救援隊により食糧や水などの物資が避難所へ届けられているが、川が氾濫したことで孤立した人々も少なくなかったという。ミャンマー政府は、約1万2000ヘクタールにも及ぶ農地が、今回の大洪水によって、被害を受けたことを発表した。
 ミャンマーは現在、モンスーン時期の終盤に近づいているが、例年では、激しい雨は9月中旬まで続く。大雨が続いている間は、洪水氾濫危険地域の住民に対して、警戒態勢を呼びかけると共に、避難勧告や警告への注意を怠らないように喚起している。ちなみにモンスーン発生地域となるバングラデシュとインドの周辺地域においても、洪水被害が出ている。
 一般的に、森林の減少により洪水が起きると理解している人が多いが、Seeping Area(水の排水口や設備) などの損失も原因の一つだと考えられている。高原地帯では植物のおかげで雨水の流れを20%~25%まで抑えることができるし、田畑の場合は、作物が12%の雨水流通を阻止してくれるという。
 1990年まで、ミャンマーは60%もの森林エリアが存在した。しかし2018年には、44.47%まで減少したと、ミャンマー森林保護企画調査会が発表した。ちなみに過去25年以内では、98万エーカーの森林を失い、2010年~2015年内の国際的な森林減少調査の指摘によれば、ミャンマーは森林消滅率世界第三位という、悲惨でありがたくないデータを示された。

河川や沿岸流域の都市が 洪水被害に遭う

 ミャンマーにおける主な洪水被害は河川氾濫によるものが大半だ。この国には古くから水上輸送ルートとして利用されてきたエーヤワディー川をはじめとする多くの河川が存在する。そのため、多くの都市は河川沿いに発展してきた。経済の発展に貢献してきたこうした河川は、同時に洪水による多くの被害をもたらしているのも事実である。
 一方で国内南・西沿岸部ではサイクロンに伴う高潮による洪水が発生している。高潮被害は、近年、サイクロンの経路が低緯度化しているようで、2008年の「サイクロン・ナルギス」がヤンゴン周辺の南沿岸部に上陸し、高潮による甚大な損害をもたらしたりもしている。
 「サイクロン・ナルギス」(Cyclone Nargis)はベンガル湾中央部で発生し、その5日後の5月2日にエーヤワディー川デルタ地帯に上陸し甚大な被害をもたらし、その後ヤンゴンをはじめとした南部を縦断し、翌3日に緬泰国境付近で消滅した。
 通常、ベンガル湾で発生するサイクロンは、北東貿易風の影響で東へ向かうことは稀で、大半がバングラデシュからインドのカルカッタ付近や半島東岸に上陸するケースが多かった。ナルギスのように東に進んでミャンマーに上陸する事はあまり前例がなかった。そのためバングラデシュでは、国連のサポートで被害を最小に食い止めることができたが、 ミャンマーではこのサイクロンへの備えが脆弱だったため、死者10万人を超す大災害になったともいわれている。
 それから7年後の2015年にも大洪水の被害に遭っている。サイクロン「コーメン」の影響による豪雨が数日続き、各地で深刻な洪水被害が起きた。
 特にラカイン州では大きな被害が出た。ラカイン州保健課、緊急時調整委員会、地元団体の要請に応じ、国境亡き医師団が被災地に緊急援助チームを派遣している。その一員であるザヤル医師からは「ミンピャ郡は、学校も病院も何もかもが浸水している。飲用水の源も洪水で全滅だ」との報告が届いた。 
 ミンピャ郡では4000人以上が23ヵ所の寺院に分散して避難し、家屋やインフラが広範囲で被害を受けた。飲用水には汚水が混入したため、有力者や担当局と連携しながら飲用水、蚊帳、石けんなどを被災者に届けている。
それ以前にもミャンマーの洪水被害は起きており、1997年~2007年の10年間で洪水災害で114人が亡くなっている。7万7843の家屋が喪失し、被害額は約41万7千ドル(約4千万円)に上った。
 常に洪水災害を受ける地方としては、サガイン管区、マンダレー地域、バゴー管区、モン州、ヤカイン州、エーヤーワディー管区、タニンターリー管区、カレン州などで、毎年5万人~6万人の住民が被害に遭い、10万エーカー以上の田畑に損害が出ているという。

度重なる洪水災害から 教訓を学ぶタイ

 洪水被害は何もミャンマーだけではない。思い起こされるのは2011年に起きたタイの洪水である。モンスーン期にチャオプラヤー川流域で甚大な被害を出し、メコン川周辺でも大洪水が発生した。同年7月から始まり3か月以上続いた洪水は、11月5日の時点で446人が死亡し230万人が影響を受けた。、
 また被害総額は1567億バーツ(約4,000億円)と想定され、600万ヘクタール以上が浸水。うち30万ヘクタールが農地であった。北部のチエンマイから、チャオプラヤー川流域の支流に存在する中部のバンコクまで、58の県に浸水が及んだ。

 この洪水は、「流出した水量と、影響を受けた人数に関して最悪の洪水」であると言われている。7つの主要な工業団地も最大で3m程度浸水し、それが40日程度続いた。バンコクの第2空港ドムアンも水没し使用不能になった。世界銀行の推計では、自然災害による経済損失額の大きさでは、東日本大震災、阪神大震災、米国のハリケーン・カトリーナに次ぐ史上第4位の被害だったという。
 日系企業が入居しているバンコク北部の7つの主要な工業団地も、10月に入って水かさが増して最大で4mほど浸水し、生産停止する工場が相次いだ。被害を受けた日系企業の数は約460社にのぼったと言われている。日本国内への部品供給にも影響が出て、この年3月に起きた東日本大震災とのダブルパンチでかなりのダメージになった。
 タイは土地が比較的的安く、カントリーリスクが低かったことから、日系企業は平野部に工場を建設してきた。進出企業は約1600社にのぼり、タイへの直接投資額は2011年1~6月だけで前年同期比2.3倍の875億バーツ(約2000億円)に達していた。むろんタイはこれまでも洪水が多発しており、バンコクもたびたび水没してきた。1995~2010年だけでも大小55回の洪水に見舞われ、2680人が死亡し、約3000万人が被災、45億ドルの損害がでている。
 熱帯性気候に分類され湿潤な気候であるタイでは、様々な小地域で季節的に激しい鉄砲水が起こるようで、鉄砲水はタイ北部からチャオプラヤー川を通って下流のタイ中部のバンコクなどの平野部にまで広がる。
 複数のダムや灌漑用水路、放水路といった排水制御システムは整備されているものの、農村地域では不十分なものだった。首都バンコクはチャオプラヤー川の河口部に位
置し洪水になりがちな場所であったが、2001年に始まった排水トンネルシステムなど、頻発する洪水を防ぐための多大な方策が施行された。

 1995年にバンコクで大きな洪水が起きた後はさほどの洪水にならなかったため、洪水対策はある程度の成功を収めたのではと考えられていた矢先の大洪水であった。このためタイ政府は、バンコク近郊で大型の土嚢による堤防と運河によって排水を進めたりして対策を講じた。タイもこの災害から教訓を得て、対策に本腰を入れ始めている。
 しかしミャンマーはどうか。毎年ようにの洪水災害が起きているが、抜本的な対策がなされていないようにも思える。年々、森林は滅少し、Seeping Area(水の排水口や施設)なども消失しているといわれているなかで、そうした状況を改善し、自然環境を保護していくべきだろう。早急に法律を改正して厳しく管理していく必要があると、環境保護団体は主張する。
Translated by Theingi Aung

洪水被害者支援チャリテイーイベント 日本人女性歌手「Miray」さんも熱唱

MBCグループの主催で「Music ✗ Culture Vol 1 Live Event Party」が先月26日、ヤンゴンのスカイスターホテルで行われた。このイベントはミャンマーの洪水被害支援のためのチャリティーであり、丸山市郎在ミャンマー日本大使を始め、各国の外交官や財界人なども駆け付けた。当日の様子はスカイネットとMNTVにて特別番組として放送された。
 今回のイベントではMBCグループがプロデュースに関わっていく日緬の新星シンガーたちが結した。日本からはMiray(女性シンガー、元 SDN48)、ミャンマーからはSofia Everest (女性シンガー、「ミャンマーアイドル」出身)Htoo El Lynn(男性ロックシンガー)、Aung La (男性シンガー)、Aik Min(新人男性シンガー)、Nana Sakonwaree(タイ・カチンのハーフの女性シンガー)などが出演し、熱唱した。

Tags
Show More