特集 特別企画 南部経済回廊への期待を持つメコン関係国から注目を浴びるDawei 「ジャパン・ビレッジ」開設式典に管区要人、VIPなど600人が参列

先月、南アジアをめぐる大きな動きが2つあった。一つが10月9日に東京で開催された「第10回日メコン首脳会議」である。タイ、カンボジア、ベトナム、ラオスそしてミャンマーからアウンサン・スーチー国家最高顧問が出席し、安倍総理が議長となって5か国の首脳たちとメコン地域の発展や課題についての議論がなされた。

目次

南部経済回廊の起点の Daweiに集まる期待

 先月、南アジアをめぐる大きな動きが2つあった。一つが10月9日に東京で開催された「第10回日メコン首脳会議」である。タイ、カンボジア、ベトナム、ラオスそしてミャンマーからアウンサン・スーチー国家最高顧問が出席し、安倍総理が議長となって5か国の首脳たちとメコン地域の発展や課題についての議論がなされた。
 安倍総理からは,日本企業によるメコン地域への投資が過去3年間で2兆円を超え,メコン地域の発展に重要な役割を果たしていることを強調しつつ,こうした実績を踏まえ,ODAを始めとした公的資金を活用し,これまで以上の民間投資の実現を後押ししたいとの決意表明があり、その上で各国首脳に対して,日本企業の声に耳を傾け,投資環境の整備を着実に進めるよう要請がなされた。日本もメコン地域の重要性を認識しており、5か国の首脳たちも日本の協力なしでは大きな発展が望めないことを再確認したようだ。
 それから10日後の19日には、ミャンマー南部タニンダリー管区のDaweiで、「グリーンフィールド・ダウエイ・ジャパン・ビレッジ」(GDJV)のオープニング・セレモニーとジャパン・フェスティバルが開催された。
 Daweiはすでにご存知のようにミャンマーの3大経済特区のひとつ「Dawei SEZ」の開発で知名度を上げているが、実はメコン地域におけるDaweiの重要性は、かなり以前から議論され、注目を浴びていた。東のホーチミンからプノンペン、バンコクを経てダウェイに至る南部経済回廊の西の積み出し港としての位置づけや、バンコクを中心とした産業集積との連結性、あるいは重化学工業を核とした産業立地の受け皿としての役割が期待されてきた。

 Daweiはヤンゴンから約600キロにあり、現実的にはヤンゴンからの工場移転や、ヤンゴンとの連結性で工場を誘致することにはやや無理がある。しかし発想を転換して、バンコクの西部臨海地域(Western Seaboard)と考えることもできる。何しろ距離的にはバンコクから約350㌔の近さであある。
 ちなみにタイの東部臨海(EasternSeaboard)開発の成功の要因のひとつには、チャチェンサオ、チョンブリ、ラヨンの3県がバンコクの東南方80~200㌔という近さにあったといわれている。この地域がタイ経済の中心バンコクに近いという利便性が産業移転をもたらし、首都一極集中の緩和につながった。その際に、交通・通信のインフラ整備による首都圏との連結性の強化が重要な役割を果たしたという。
 むろんダウェイ~バンコク間には国境があるが、仮に将来的にこのルートがよりスムーズに機能していけば、ダウェイはバンコクからの産業分散の受け皿となり得る可能性は大だ。これこそがメコン地域におけるダウェイの最大の立地優位性となっている。
 然るに、ダウェイ港の完成後は、タイ、ベトナム、カンボジアなどメコン諸国に大きな経済効果をもたらすと想定されている。ダウェイ港はメコン地域のウェストバウンドのゲートウェイとなる可能性を十分に秘めているからだ。

将来を見据えた「GDJV」計画に 管区政府も全面支援

 そうしたDaweiの優位性と将来性に早くから着目し、様々なプランを構築しながら今回の「ジャパン・ビレッジ」オープンを実現させたのがグリーンフィールド経済政治研究所(代表岩澤康晴)である。代表の岩澤氏は今年タニンダリー管区政府のChief Minister Aide (国務大臣管区首相補佐官)に就任し、管区政府と密に連携を取り、ついに管区政府庁舎近くの一等地に「ジャパン・ビレッジ」の用地を提供された。

 10月19日に開催された「GDJV」のセレモニーとジャパン・フェスティバルの主催者はあくまで民間の「グリーンフィールド・ダウェー・ジャパン・ビレッジ」だったが、タニンダリー管区政府の全面協力なしではこのイベントが実現できたかどうか。
 ボランティア学生の動員、通常実現が難しい空港敷地内でのセレモニー、VIPのみならず全てのゲストが空港からホテルまで警察先導で送迎され、道々には警察官が立ち、交通をストップさせての厚遇ぶりであった。
 そのジャパンフェスティバルには総勢600名程のゲストが出席した。ヤンゴンからは日本人の音楽バンド、ミャンマー合気道連盟会長でヤンゴン・インターナショナルホテル社長の小野寺紘毅氏による合気道の実演、さらに出崎氏による剣道の実技、また日本から書道家の倉林志帆さんが駆け付け、見事な書道パフォーマンスを披露した。屋外に設けられた屋台ブースでは焼きそばや綿菓子、かき氷、ヨーヨーや浴衣の体験など8ブースが設けられ、地元の人々に無料で開放されて大賑わいだった。
 そうしたイベントの盛況ぶりに加えて驚いたのは関係4か国がこのセレモニーに並々ならぬ関心を寄せていることだった。ダウェーは今後南アジアで最も重要になる南部経済回廊のスタート地点でゴール地点でもあることは先にも触れたが、「GDJV」は当然ミャンマーのみならずこの南部経済回廊をも視野に入れており、セレモニーに関係する4か国の要人もそれを見越して参加した。

ミャンマーからは国務大臣タニンダリー管区首相はじめ7人の全管区大臣、管区副議長、政府高官など管区政府の要人すべてが列席した。
 タイからはタニンダリーと国境に隣接するカンチャナブリ県知事代理の副知事と、日本から旭日大綬章を授与された元外務大臣が駆け付けた。カンボジアからは、在ミャンマーカンボジア大使館大使代理で経済班長が来た。そしてベトナムからは、なんと在ミャンマーベトナム大使館のDr.Luan Thuy Doung大使夫妻も式典にやってきたのである。
 むろんこうした各国の主賓は形式だけの参加ではなかった。岩澤代表が事前に在ヤンゴンの各大使館で複数回説明した成果である。ダウェーまで飛行機で来て1泊を余儀なくされるにもかかわらず列席したのは、とりもなおさずダウエーの重要性を認識しているからであろう。
 「GDJV」にはすでに12 社の日本企業が進出した(別掲リスト参照)。「ミャンマー版地方創生」を掲げ地方からミャンマーの日本企業を元気にしようというコンセプトと、南部経済回廊の拠点という将来性への期待からである。
 セレモニー終了後に4カ国とミャンマー要人やビジネスキーパーソンから感想を伺うと、どの方からもはとても高い評価の談話が出た。特にベトナム大使は盛んに南部経済回廊への期待感を述べていた。

カンチャナブリ県商工会議所との業務提携

 この日の夜、懇親会が開かれたHotelDaweiでは、もう一つ大きな出来事に遭遇した。タニンダリー管区と国境で接するタイのカンチャナブリ県商工会議所とグリーンフィールド経済政治研究所との間で業務提携MOUが締結されたのだ。
 タイ側の出席者はカンチャナブリ県商工会議所会頭、立会人としてカンチャナブリ県副知事が参加、ミャンマー側はグリーンフィールド経済政治研究所代表 岩澤康晴氏、立会人としてタニンダリー管区財務計画大臣が同席しサインの交換をした。
 南部経済回廊の道路は最後のピース(現段階で唯一の未舗装路)といわれ、タイ国境からダウェーまでの舗装が完成すれば回廊は完成し、これまでタイ湾からマレー半島を下り、シンガポールを迂回しなくて済むようになる。これは大幅な運輸コスト削減につながり、これはメコン地域にとってはまさに重要な地区(区間)となる。

 また、ダウェイ港は物流上重要な意味を持ち、整備後にはタイのバンコク港の取扱量と同等の取扱量が出るとの想定もなされている。これはダウェイ港の完成とタイへの道路が整備されると、香港や広東、ベトナムからの貨物がシンガポールを経由せずに、バンコクからダウェイを経て西に抜ける物流ルートが出来上がるからだ。結果として、ダウェイ港の経済効果は、タイやベトナム、カンボジアの関係国にとってメリットが大きいのである。
 そのダウエイ港はアンダマン海、インド洋に面し、2~5万トン級の大型船が25隻同時に接岸できる22のバースを備える深海港と、貨物ヤードの建設後、後背地約250平方㌔を工業地帯・経済特区とし、火力発電所、製油所、製鉄所、石油化学工場などの建設が計画されている。ヤンゴンの「ティラワSEZ」の約8倍の規模を誇る「DaweiSEZ」の開発再開のニュースも流れ、今後ますます目が離せなくなるのがダウエーを中心とした南部のタニンダリー管区であろう。
 今回弊紙ヤンゴンプレスもこうしたタニンダリー管区をはじめとした南アジアのメコン地域の経済動静を迅速にお伝えするため、タイの日系紙「バンコク週報」と提携に向けた協議を進めており、「GDJV」内の一角に「Yangon Press Dawei支所」を開設した。

Tags
Show More