発見│ミャンマーの観光スポット Myeik ベイ 将来性十分のタニンダリー管区のダウエイからベイを往く マリンリゾートの宝庫「ベイ」の魅力は島々へのツアー

西のガバリやチャウンターばかりに注目が集まるが、アンダマン海の手付かずの島々への魅力が一杯のタニンダリーは、これからのミャンマーの期待される観光地となる。今回ダウエイからベイまで陸路を走り、珠玉のリゾートのベイの魅力を堪能した。

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趣を異にする 「ダウエイ」と「ベイ」

 「今後、ミャンマーで一番期待できそうなエリアはどこか」と問われれば、筆者は間違いなくミャンマー東南部に、まるで動物の足のように南北に広がっている「タニンダリー管区」と答える。
 SEZ開発が再開する管区都のダウエイを始め、リゾート地として観光客が増えているベイ(Myeik)やマレーシア、タイと国境を接する最南端のコータウン(別名『ビクトリア・ポイント』)の3大経済圏が持つ可能性と位置的魅力を考えれば、将来的にこのエリアを無視するわけにはいかなくなるだろう。
 タニンダーリー管区は(Tanintharyi Riision)、北緯15度以南、西はアンダマン海、東と南はタイのマレー半島部、北はモン州に接している。総面積は4万3328㌔mの広さを持ち、総人口は100万人を超す。
 歴史的には、マレーシアのケダ州やタイのサトゥーン県と文化的に深い繋がりを持っている。何しろベイ~バンコク間(約350㌔)はベイ~ヤンゴン間(約850㌔)のほぼ半分以下の距離で、タイのアユタヤ王朝(1351年- 1767年)時代、ビルマ軍がタイに侵攻する際は、軍の拠点であった。そしてこのエリアはアユタヤ王朝時代の後、シャムとビルマが交互に支配を続けた経緯がある。
 ちなみにダウエイが港として建設されたのは意外に古く、アユタヤ王朝時代の末期の1751年であった。その後1852年の第一次英緬戦争の結果、英国が下ビルマ全域を制圧して首都がラングーンへ移されると、タニンダーリー地方は現在のモン州・カレン州、バゴー管区のタウングー地域を含むようになり、モーラミャインが地方区都になった。

 そして、英国はカレン族を前面に押し立て、この地方の植民地運営に乗り出した。この時の立ち位置の関係、つまり支配者側のカレン族と、被支配者側のビルマ族という構図が今日まで根強く残り、その後の民族間対立の原因のひとつにもなったといわれている。
先の大戦中は、交通の要衝として目をつけた旧日本軍によって泰緬鉄道が建設され、1948年、のビルマ独立に際しては、タニンダーリーの東北部に新たなカレン州が設けられた。そして1974年にタニンダーリーの北
部がモン州として定められ、モーラミャインが州都となった。同時にタニンダーリーの新しい管区都がダウェイに決まった。現在、タニンダーリー管区は前記3地区、10郷から構成されている。

「ダウエイ」から陸路7時間かけて 「ベイ」へ

 タニンダーリー管区は,現在ビルマ族が多数派を占めている。その中でもビルマ族グループに属するダウェー族とベ イ族という分類ができるという。むろん国定民族であるこの 2民族はID登録証などではビルマ族として扱 われているが、2014 年の国勢調査の時には、調査票の民族欄に「ダウェー」と記入する人々が続出したという。言語学的にも、ダウェーとベイはビルマ語を話すが、他地域のビルマ族から言わせると「なまりの強 い地域」と方言がひどいことがわかる。しかもダウェー族とベイ族でも微妙なニュアンスの違いがあり、ベイの方言はダウェーに比べ,ややビルマ語 と近いともいわれている。

 しかし今回実際に 訪れてみると、この 2 つの都市の性格は趣を異にしていた。管区都であるダウェーはで文化的な古都のイメージが強く、近年はダウエイ港を中心としたメコン経済・流通の要所であるという雰囲気が感じられる。一 方のベイ市は他民族を受け入れる開放的で気質を持ち、商業と観光の町という印象が強い。
 ダウェーはビルマ族とカレン族が大半を占め、他地域に比べて中国やインドからの移民は少ない。反対にベイは民族的にかなり多様で,海洋民族のモーケン族を始め、Sea Gipsyと呼ばれる先住民族のサロン族や中国系,インド系、中国系とビルマ系の混血といった人々が混在している。
 今回そのベイを中心に取材をすすめた。10月19日にダウエイで開催された「グリーンフィールド・ダウエイ・ジャパン・ビレツジ」のオープニング・セレモニーを取材した後、陸路で約250㌔南下したベイへ行く予定を立てた。
 通常、大型バスや空路という手段もあることはあるが、ここはひとつローカルの人に混じって“ハイエース”と呼ばれる小型ワゴンで向かうことにした。途中、2度の休憩を入れて約7時間の旅である。料金も我々外国人でも12000Ks(約1000円)という安さである。 
 ちなみにヤンゴン~ベイ間(約850㌔)はバスだとほぼ1日がかりで、料金は25000~27000Ks(約2300~2500円)。ヤンゴンからのフライトは所要時間が1時間30分で、外国人は片道120US$前後だ。
 朝10時、ホテルにハイエースが到着した。幸い乗客は筆者一人だった。しかしその後は様相が一変した。車はダウエイの町を出るまでに、あちこちで乗客を乗せ、またはベイや近辺に届ける荷物を預かり、かれこれ1時間近く街中を周回した。
 大きな荷物を抱えたミャンマー人乗客たちが詰め込まれた後、筆者は助手席に移動させられたが、走り出すと風で暑さが和らぎ、エアコンが要らぬほどだった。かなり窮屈だが、結果はオーライだった。

 一通りローカル客たちを乗せた後、やっとベイ方面への幹線道路AH12に出た。ダウェイから北は明確にセンターラインがある2車線道路だが、南方向はその区分がなく、道路幅もやや狭いが、全線舗装されていて想像以上に道路状況は良かった。しかし近隣、道中の村々の交通手段はバイクで、始終その追い越しでハラハラさせられる。
 郊外を離れると道路の左右は田園風景。街道沿いにはゴムのプランテーションが目立つ。しかも意外にアップダウンがあリ、人や家屋が見当たらなければ、アメリカのカントリーサイドを走っているような感覚に襲われた。
 小高い丘を回り込む結構なカーブも多く、大小多数の川を渡るが、いつ海岸線が見えるかと楽しみにしていたが、山中を抜ける同じような風景の連続で、さすがに7時間は飽きる。もし、日本の伊豆半島を走るスカイラインのような道路が、西側のアンダマン海の碧い海の海岸線を走り抜けるようになれば、本当にこの管区の観光の目玉になるだろう。
 午後5時半、やっとベイのゲートウエイを通過した。海が見える。山ばかりだったのでとても新鮮だった。ダウンタウンまで15分、次々に乗客をおろし、荷物を届けて最後に筆者の宿泊先ホテルまで送ってくれた。バスターミナルからタクシーを使わないで済むので、これは楽だった。

外国人観光客に門戸を開いた 「ベイ」の魅力

 ベイは824もの島が点在するメルギー諸島へのゲートタウンだが、海軍の重要施設が多数あり、現在でも外国人の観光に際しても多少の制限が敷かれている。
 例えばまた電動の釣り具などの使用を許可していない島もあり、許可された島々への観光は問題ないが、宿泊を禁止している場所や外国人立ち入り禁止の島もある。だから、観光にハ地元の旅行社のアドバイスは重要だろう。
 ベイの町は港を中心に市街地が広がっている。港はダウェイやヤンゴンへの船着き場でもあるが、メルギー諸島の島々の住民の船着き場でもある。そのため港の近くににぎやかなローカル市場があり、漁港としても繁栄していたため、早朝の魚市場を見学するのもいい。漁から帰還した漁船が港に横付けされ、その前の市場では獲れたての新鮮な魚介類が並ぶ。それを目当てにやってくる商人たちで、市場は活況を見せる。アンダマン海で獲れた魚を直接売買する市場はIn Lay Myaing区にあり、周辺には加工工場や冷凍工場など点在する。

 カンナー通りにある「ツバメ巣」の採集場所も面白い。建設途中のビルのように見えるがこれが巣だった。中華料理や栄養剤などで高価な素材なツバメの巣は、そのエキスも販売されており、4500ks~から買える。ただし外国人は見学だけでも1$の入場料がいる。
 海に面して横たわる有名な海上寝仏像の「Shwe Thar Laung」パゴダへはボートで15分。仏像のご身体内が建内にあり意外な大きさだ。パゴダまでの船賃は一人2千Ks。パゴダの裏側の島へは外国人の立入禁止区域になっている。もう一つ有名なパゴダは「Thein Taw Gyi」で、ここはミンドン王の時代に建設され、当時は「Ma Rickマリック」(馬を結ぶ場所という意味)と呼ばれた。その呼び名が変化してこの地方の方言のメイク(Myeik)になったという。
 こうした観光名所もいいが、ベイに来たらやはり観光の中心は、エメラルドブルーの海を背景にしたメルギー諸島の島々だろう。
 ホテルのフロントでも島めぐりツアーを依頼できるが、沖合6㌔ぐらいにある「ナットミーインドゥイン島」、「マーカス島」といった島へはスピードボートで行くことになる。島には宿泊施設がなく、日帰りを余儀なくされるから速度の遅い漁船では無理だからだ。しかも料金は1人120US$(値切って100$)と高額。多人数でも料金は同一だ。
 ベイの港には多くのローカル船がいる。港では近くを回らないかと声がかかる。料金交渉は必要だが、近隣の島限定で行ってくれる。

 港から対岸に見える「パテ島」など近隣の島や、港付近の周遊なら5000Ks(450円)ぐらいから交渉できる。「カラ島」、「カダン島」まで行く場合は、1隻あたり2万Ks(約1800円)ぐらいで6時間チャーターが可能。
 「カラ島」の白砂のビーチまで地元の漁船なら片道1時間半。距離は片道15㌔。「カダン島」や「シンイェ島」 などを周遊するとツアーの場合は合計6時間はかかる。
 いずれにしても、メルギ―諸島の紺碧の海に触れたければ、やはり港から1時間以上沖合に出ないとだめだろう。しかし手付かずの美しい島々を目にしたとき、言い知れぬ感動が襲ってくることだけは確かだ。

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