今月の視点 狭い邦人社会で根拠のない誹謗中傷はもうやめるべき

雨期が峠を越し、待望の乾季の到来かと思ったら、先月後半に低気圧がやってきて、再び傘の心配をしなくてはならなかった。夏場から初秋にかけて台風が頻発した日本もそうだったが、今年のミャンマーの気候もどこか変で、雨が何かしっこい気がする。

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善意の邦人の原資で基金設立 孤児の面倒を見る僧院に寄付

 雨期が峠を越し、待望の乾季の到来かと思ったら、先月後半に低気圧がやってきて、再び傘の心配をしなくてはならなかった。夏場から初秋にかけて台風が頻発した日本もそうだったが、今年のミャンマーの気候もどこか変で、雨が何かしっこい気がする。
 そうしたうっとおしさを晴らすかのように、先月号でお伝えしたDala地区の僧院への寄付を実現させることができた。先月某日、1200人もの孤児の面倒を自前で見ている僧院長に面会し、寄付金をお渡しした。
 「来月の先生方20人の給与をどうするか苦慮していた」という僧院長は大変お喜びになり、日本人全体に対して丁重な謝意を頂いた。そしてここで学ぶ孤児たちもお礼に駆け付けてくれ、実に爽やかなひと時を過ごさせていただいた。
 この寄付金の原資は、TOKYO IN MYANMARという縫製工場をヤンゴンのミンガラドン工業団地で経営する岡遥氏のご好意によるものである。
 これまで岡さんと相談の上、今回の貴重な浄財をこの僧院のみならず、苦境の中で希望や夢を実現させたいと願っているミャンマーの子供たちの支援基金にしていこうということになり、「ミャンマー日本希望の光基金」として運営することになった(詳細はP35を参照)。一度限りの支援ではなく、広く浅くてもいいから、一人でも多くの子供たちの自立をサポートできたらと考えたわけである。
 そこで弊紙が事務局となり、広く邦人の方々からも寄付を募い、明日のミャンマーを担って立つ子供たちの支援活動に使っていく基金とした。弊紙も微力ながら賛同する方々のへの告知活動や、毎号経過報告並びに支援を必要としている子供たちへの広報活動を行っていく予定である。
 岡さんは「お世話になったミャンマーへの恩返しだから大それたことではない」と淡々とおっしゃるが、多くの邦人は皆心ではそう思っている。しかし岡さんのように行動を起こすことはなかなか容易なことではない。

注目を浴びるダウエイで民間のイベント 南部経済回廊に関心示す綿混の関係国

 勇気ある行動といえば、先月、もう一つ注目すべき出来事があった。19日にタニンダリーのダウエイで開催された「グリーンフィールド・ダウエイ・ジャパン・ビレツジ」(GDJV)のオープニング・セレモニーとジャパン・フェスティバルである(詳細はP22,23)。
 ご存知のように、ダウエイは早くからSEZ計画が構築され、開発が行われていたが、途中、様々な資金的紆余曲折が生じ、一時中断した形になっていた。しかし2015年に日本も支援の意思表示をみせ、今年に入って再び開発の動きが出てきた。
 そのダウエイで開催された今回のイベントは、タニンダリー管区政府国務大臣管区首相補佐官(Chief Minister Aide)に就任した岩澤康晴氏(グリーンフィールド経済政治研究所代表)の尽力で、管区政府庁舎のすぐ近くに日本企業進出の受け皿となる「ジャパン・ビレツジ」がオープンした記念すべき式典であった。すでにここには12社の日本企業が進出を決めており、現在でも検討中の企業が複数あるという。
 むろん進出企業はSEZ開発やその後のダウエイの将来的なスケールメリットを睨んだものだが、もう一つの大きな魅力はやはり南部経済回廊の重要拠点としての位置づけである。
 ホーチミン、プノンペン、バンコクを結ぶこの経済ルートは、タイ国境からダウエイまでの道路がさらに整備されていけば完成する。そうなるとシンガポール沖のマラッカ海峡を通らずに、ホーチミンから陸路でダウエイを抜け、西のインド、中東への経済ルートが確立される。
 香港、広州などの中国からの物流もベトナムからこのメコンの回廊を利用して流通させることが可能になる。
 今回の「GDJV」の開設も、そうした経済回廊の完成後のダウエイの重要性をも十分視野に入ったプロジェクトだった。そのため、式典はタニンダリー管区政府の全面支援で行われ、管区首相はもちろん全幹部が列席した。
 それどころかベトナム大使、カンボジア、タイ、隣接するタイのカンチャナプり副知事など、メコン関係各国の要人たちもヤンゴンやタイから空路駆け付けた。それだけメコンの関係諸国もこのダウエイと経済回廊の重要性を認識しているのだ。

3000人足らずの狭い邦人社会では 根も葉もない噂は人間を抹殺しかねない

 岩澤康晴氏は2014年にエャワディー州首相補佐官に就任して、外国人初の登用ということで内外で注目を集めたが、その後の岩澤氏については、やっかみなのか、ヤンゴンの日本人社会のみならず、日本のミャンマー関係者の間でも誹謗中傷が飛び交っていた。
 「ミャンマーへの投資話で詐欺的な行為をしている」というのがその誹謗中傷の総体的な内容だった。むろん当方も複数の方々からそんな氏にまつわる話を幾度か耳にした。
 だから今回のダウエイのイベントに関して岩澤氏から協力を依頼されたとき、当然この話について卒直に何度も話し合いを重ねた。その結果、「これまでミャンマー進出にあたって、熱意のあまり誤解される面はあったかもしれないが、やましいことは一切していない」という岩澤氏の言葉には信ぴょう性を感じた。
 そして弊紙は今後氏に全面協力し、今回も取材に出向く決断をした。それを決定的に後押ししたのが、友人でありヤンゴンインターナショナル社長の小野寺紘毅氏が、岩澤氏の全面支援を申し出たことだった。
 小野寺社長は約28年前に当時の東京のミャンマー大使館の敷地の半分をミャンマー政府の要請で買い受け、財政に瀕していた当時の政府の窮状を、国家予算に相当する金額で救った。そしてミャンマーでは外国人投資第一号としてヤンゴンの一等地に広大な土地を時の軍事政権から提供された。来緬時には国賓待遇で歓待されたという。
 現在その土地にホテルを建設したわけだが、実は今回のイベントの際にその時に「ダウエイに45エーカーの土地もどうか」という打診も同時に受けていたことを明かしてくれた。結果的ヤンゴンのホテルにしたわけだが、それだけに小野寺社長にとってもダウエイは因縁浅からぬ地だったようだ。
現在、ミャンマーの在住邦人は3000人前後だといわれている。7~8万人といわれる隣のタイに比べれば、まだまだ微々たる数である。それだけに根も葉もない噂は怖い。すぐに拡散する。
当方も、ヤンゴン初の日本クラブの経営者でもオーナーでもないのに、ただ経営者と長い友人関係にあるだけにも関わらず、「フリーぺーパーの編集長が日本クラブをやっている」という根拠のない噂を流されたことがある。別に法に違反しているわけでもないので、無視していたが、こうした誹謗中傷はまかり間違えば人間一人を抹殺しかねない。今やネット社会だけに、伝達も迅速かつ巧妙だ。
ミャンマーの在住邦人は、冒頭で触れた岡さんのような善意の日本人ばかリではないことは確かだが、狭い日本人社会のヤンゴンである。少なくとも、根拠のない噂話で、人の足を引っ張るようなことだけはもうやめにしたい。

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