ヤンゴン環状線37駅のアップグレード事業を獲得した日本の民間企業 苦節5年、ついにミャンマー鉄道省と正式契約を結んで計画が始動へ

ヤンゴン環状線37駅のアップグレード事業を獲得した日本の民間企業 苦節5年、ついにミャンマー鉄道省と正式契約を結んで計画が始動へ

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     先月12日付のミャンマータイムズに、日本の民間会社がヤンゴン環状線の駅と駅周辺のアップグレードプロジェクトで合意したとの記事が載った。
     ミャンマー鉄道省経済局GMの U Arkar Min Thuによると、日本の「Hello Communications」と鉄道省との間で、環状線37駅の浄化と駅構内の整備事業に関する契約が締結され、まず手はじめに、マャンゴン・タウンシップのThamine(タマエ)駅のグレードアップが開始される予定になった。
     鉄道省によると、このThamine駅の工事がうまくいけば、残りの36駅のプロジェクトが推進される計画だという。ちなみに全37駅のアップグレートに関する投資額は1100万ドル(約12億3千万円)になる模様だ。
     このプロジェクトを請け負った「Hello Communications」のCEOである七田公雄氏は、「Thamine駅の改修は、プラットホームのリニュアルやスタッフ棟の建設だけで約30万ドルのコストがかかると見積もっている。 我々はまた、建設後の住宅の長期メンテナンスも担当することになるでしょう」と語っている。
     ちなみにこのThamine駅のグレードアップの具体的な内容は、プラットホームと屋根の整備はもちろん、駅の正面ゲートと切符売り場、公共のアメ二ティ―、モダンなコーヒーショップ、コンビニや広告スペースまで作られる予定だという。
    七田氏によると、駅のグレードアップ化が実現すれば、駅前の再開発、住宅や商業施設の整備新設も視野に入ってくるという。そうなると前37駅だから、これは壮大なプロジェクトと言っていい。
     ではこれだけのプロジェクトを受注した「Hello Communications」とは、一体いかなる企業なのか。設立は1990年で、オーストラリアのシドニーに本社機能を構えた。広告映像制作、イベント企画を軸に、メディアとのコラボを推進して多様化するニーズに対応する広告映像制作を手掛けてきた。
     CEOの七田公雄氏がミャンマーに来たのは2012年のこと。ヤンゴン視察を行い、翌年2月から本格的にヤンゴンに滞在し、1ヶ月ごとに日本と往復を繰り返す日々が続いた。そして最初に始めたのが、ヤンゴン市内に広告塔設置(OOH)の事業だった。むろんYCDCの認可を待ちながらのプロジェクトだったが、悪徳ブローカーたちに高い授業料を払う失敗が連続した。
     そこでYCDCを断念し、現ミャンマー鉄道省総裁を紹介され、ヤンゴン中央駅校内の広告媒体の事業を勧められ、その後、駅の美景観の推進を行う許諾申請を出したところ、2014年12月に鉄道省より内示があり、2015年2月に正式に受理されたのだ。
     当時、ミャンマーでの広告は屋外広告等が中心で、広告主も中央駅から電車に乗ったことがなく、駅自体も暗く汚いイメージがあった。現在のように、清掃がほとんど実行されてなかった。だから広告主を探す営業は大変だった。
     しかしまずは媒体数120カ所の設置を目標にしたが、やはり広報担当者は駅よりも屋外広告に関心があり、拡販はひと苦労だった。そこで、同社は清掃部隊を結成し、駅の美景観をつくるため、構内の清掃作業から始めたのだ。
     2015年から広告事業への認可が同省から下り、翌年にはPansodan橋の蛍光灯設置、塗装および歩道整地のDonation工事。しかし依頼した業社の手抜き工事のために、6か月後にはコンクリートが剥がれてボコボコの状態になるというアクシデントにもあった。
     それでも七田氏は諦めず、2017年にPansodan橋から駅構内への入り口二カ所に転落防止用安全手すりを設置した。また中央構内プラットホームー1にて、同社のオペレーション事務所開設し、簡単なスナックやコーヒーが飲めるスタンドをつくり、日本のキオスクのような売店機能もつけ加えた。
     そして、2017年11月に環状線37駅のかさ上げ及び駅構内含む有効利用の提案書を鉄道省に出した。今年3月には最終案書を提出した。こうした地道な努力がついに実を結び、それから間もなく、運輸大臣から前記したThamine駅を開発及び駅員の宿舎改善の要請が届いた。
     駅を綺麗にする事が広告主へのアピールでもあるが、駅に足を運ぶ度に、利用者や国民の美に対する意識が変わるいい機会じゃないかと思い、鉄道省に訴え続けた七田氏の敬服すべき執念である。
     仮に37駅のアップグレードが順調に進めば、当然駅周辺の再開発も申請する予定だという。そうなればこれはますます壮大なる街づくりになる。むろん同社一社だけでは手に負えない。鉄道省との強いパイプがあるだけに、このプロジェクトに協力する企業があれば、ぜひ一緒にやっていきたいそうだ。

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