ミャンマー人の肖像 中古車輸入で成功した日本式堅実経営と先を読む力 建設トレーニングセンターで即戦力の研習生を養成 U Moe Aung モー・アウンさん G.G.G.Co Ltd CEO

1988年のこの国の歴史に残る民主化デモ以降、海外へ向かった知識人や若い学生たちがかなり出現した。国の騒乱状態の中で将来の希望や夢を海外で見い出すため、半ば無念の思いで脱出したのだ。  この方もその一人だった。

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     1988年のこの国の歴史に残る民主化デモ以降、海外へ向かった知識人や若い学生たちがかなり出現した。国の騒乱状態の中で将来の希望や夢を海外で見い出すため、半ば無念の思いで脱出したのだ。
     この方もその一人だった。1991年、27歳のときに伝手を頼って日本行きを決断した。将来の目標に掲げていた貿易業を実現させるためだった。
     「日本のビザを取得するのに大変苦労しましたが、なんとか友人たちのおかげで行くことができました。でも、最初の7、8年は満足できる仕事にはありつけず、目標を失わないように頑張りましたね」。
     その甲斐があって、2000年ころになると、日本からミャンマーへの引っ越し荷物を請け負うビジネスを始めることができた。
     「日本とミャンマーとの間で少しずつ交流が増え、ミャンマーに向かう日本人、帰国するミャンマー人の家財道具などを扱う仕事が重宝がられるようになりました。そこでそれまで個人経営だったビジネスを拡大させるために、法人会社を設立したのです。輸出入についての知識や経験もついてきたので、引っ越だけでなくほかの商材もミャンマーに輸出するようになりました」。
     当初の目標だった貿易ビジネスの基礎ができた。商売も少しずつだが軌道に乗ってきた。
    そんな時、ミャンマーの民主化の動きを知った。政権がテン・セィン大統領に代わり、軍事政権時代とは異なるミャンマー開国の匂いを感じた。
     そこで2012年に帰国。すぐに会社を立ち上げて2013年から中古車の輸入業に専念した。

    「結果的にこれが当たりました。ご存知のようにミャンマーに中古車輸入ブームが起きましたからね。この年から2015年の2年間で400台の車を日本から輸入しました。
     これも日本滞在時に経験を積んだ輸出入業務が大いに役立ちました」。
     時代の移り変わりを敏感に感じ取ったモーさんは、念願の貿易ビジネス本格的にスタートさせた。
     同時に研習生送り出し事業を始めた。「教育」と「技術」のスキルアップは国力を高めるうえでえ欠かせない要素だと確信し、ミャンマーの発展を促進する原動力と考えたからだ。
     「2013年12月からこちらでトレーニングを積んだ若者を、日本の事業所に紹介する許可を政府からいただきました。そしてすぐに6名の研習生を日本に送り出しました。それから宮城県、埼玉県、東京都、新潟県の各地に研習生を派遣しています」。
     日本の人手不足も深刻になってきた。しかし、モーさんの脳裏には、やみくもに研習生を送り出しことには抵抗があった。
     「いくら日本語を多少勉強したからといって、右も左もわからない日本で、3年間辛抱できるかどうか、少し疑問に感じていました。私の長い日本滞在経験からそんなに甘くはない。だから事前の準備が大事なんです」。
     そこでモーさんは日本からのオファーが最も多い建設業界への研習生を養成するためにヤンゴン西地区にあるタンリンに、自社で建設技術者養成のためのトレーニングスクルーを作ってしまった。
     「約20年にも及ぶ日本滞在経験から、日本企業における仕事に対する厳しさや向上心をよくわかっていました。それはミャンマーがぜひ見習うべき点だと思いました。日本の繁栄はそうした地道な努力があったからこそ築き上げられたのです。だから、単に日本語だけを勉強させて送り出すのではのではなく、その企業のニーズに沿って基礎的な技術をミャンマーで修練させてから送ろうと考えたのです」。
     モーさんの研習生送り出しは、最初の5か月を日本語研修にあて、そのあとの1か月間をタンリンのトレーニングセンターで専門の建設技術者を招いて、朝から夕方まで実戦的な建設技術指導を行ってなっている。ヤンゴンには多くの送り出し機関があるが、ここまでやっているところは数少ない。

     研習生事業をビジネスベースで行うのではなく、将来を見据えて質の高い、そして志を持ったミャンマーの若者を日本でスキルアップさせたいからだという。それが結果的にミャンマーの発展に寄与できるのではと思っている。
     「研習生事業は言ううなれば社会貢献だととらえています。しかし貿易ビジネスは利益を出さないといけない。私はこれからはミャンマーの特産品や質のいい農業製品を日本に輸出したいと考えています。ビジネス的にはこれも大きなチャンスになるのではないか」
     日緬交流を念頭に置きながらも、先を見つめた事業を模索するモーさんの事業欲はとどまるところを知らない。

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