◎今月の視点 この国の電力インフラ改善は、官民を挙げた日本の“良心”にかかる

先月19日の満月の日に、雨季と決別する祭り 「ダディンジョ」が行われ、ミャンマーは本格的な乾季となった。

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水力7割で乾季に枯渇して毎年不足状態に 電力インフラ整備は日緬両国の最重要課題

先月19日の満月の日に、雨季と決別する祭り 「ダディンジョ」が行われ、ミャンマーは本格的な乾季となった。これから来年5月まで晴天の日が続き、除々に真夏日が多くなる。4月の水祭りにかけては40度前後の酷暑が続き、暑さはピークになる。
熱暑対策さえ施せば、それはそれなりにいい季節なのだが、問題は電力。70%が水力発電で、貯水が枯渇すれば送電が止まるのは必然。雨季に貯めた雨水が、例年水祭りシーズンに乏しくなり、送電状態が悪化し、頻繁に停電を余儀なくされる。
国内の大きな河川は、日本の水力発電に相当する発電量を上乗せ出来るほどのポテンシャルがあると推定されている。現在ミャンマーには水力18カ所を含む29の発電所があるが、ダムの水量が減る乾期の発電能力は最大134万キロワットにとどまる。同じ時期の瞬間最大需要(185万キロワット)には到底足りない。さらにダムを作るには時間がかかりすぎ、ダムの建設地域から各都市、経済特区に送電するには距離が長すぎるという欠点も露呈した。ヤンゴンやマンダレーなどの都心部では、強風や雨で配電網が破損することもままあることから、自家発電機付か、自家発電を自ら取り付ける自衛策も数多く見られる。またヤンゴンのメインストリートなど除いては、街路灯が整備不足か光量が微弱なため、夜間の道は極端に暗くなり、走行中の視界が悪く危険度も高まる。配電網整備に関しては2013年6月21日に中部電力が国際協力機構(JICA)からミャンマーの配電網整備に関する調査を受託し、ヤンゴン市における配電網整備計画の見直しや優先投資計画の策定などを行うと発表しており、高度経済成長期の知見なども生かし、ミャンマーの電力インフラ整備の一部を支援する予定だ。

始動し始めた日本大手企業による電力改善ミッション 具体的プランの提示で電力省大臣も質疑応答へ参加 「Myanmar /Japan Joint Forum on Electric Power Development 2013」

こうしたこの国の電力状況を踏まえて、日本の民間企業による電力インフラ整備への動きも活発化している。去る10月4日、セドナホテルで「Myanmar/Japan Joint Fourm on Electric Power Development 2013」が開催された。この国の命運を握る電力ミッションだけに、ミャンマー側からはヤンゴン管区政府電力省U Nyan Tun U大臣をはじめ、Myanmar Engineering Society(MES)のU Win Khaing会長、同Society のU Myint Soe CEOなどの政府首脳や電力関係機関に加え、先般、ヤンゴン新空港建設を韓国企業と組んで受注したA1Group of Campanies の YanWin会長など、民間からも企業幹部が多数出席した。
このミッションは、昨年12月に第1回調査団が首都ネピドーを訪問し、電力省で副大臣や幹部を交えて長時間にも及ぶセッションを経て、今回、日本側から具体的な電力事情改善のためのプラン用意し、「ミャンマー火力 発電及び送変電ビジネス提案型調査団」(森和義団長)という形で実現した。参加したメンバーは、榎本東京電力元副社長、三菱電機(株)の山本正純氏、(株)日立製作所の池田治彦氏、西日本技術開発(株)の原田孝氏、富士電機(株)の金田正氏、中国電力(株)の田中忍氏、東芝アジア・パシフィック社の米田哲也氏、(株)シービーエスの岸武志氏、新潟原動機(株)の宮越忠雄氏、 (株)アクティオの大塚努氏、日本テピア(株)の高山恵氏らで、各社が持参した電力事情改善プランを披露した。最後のパネラーの終了後、質疑応答に入ったが、ここまで熱心に聞き入っていた電力大臣から質問が出たのを皮切りに、MESやミャンマー民間企業幹部からも次々に質問が浴びせられ、セミナーは成功裡に終了した。
主催したのは一般社団法人日本技術者連盟(JEF)と一般社団法人日本ミャンマー文化経済交流協会(JMACE)で、ミャンマー電力省、在日本大使館、JETROヤンゴン事務所などの後援を得て実現に至った。
現在、ミャンマーと日本にとって重要なテーマだけに、当日はミャンマー中央TV ,SKYNET TVやVOICEを始めとしたミャンマーの主要メディアも駆けつけた。
JEF とJMACEでは、今後もこうした電力ミッションは継続的に行っていく予定で、ミャンマーの電力事情改善に少しでも寄与していきたい方針だという。
今後、日本のODAも本格的に供与されることから、インフラの状況は急ピッチで改善が進み、予想以上のスピードで電力事情が好転する可能性もある。
そのキーを握るのは、日本の高度な支援であり、打算を度外視した“良心”にかかっているといっても過言ではない。

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