◎第4回 テリー先生ヤンゴン滞在記

米どころ エヤワディ河のデルタ地帯

目次

    ミャンマーは日本の米の生産量約800万トンの4倍の約3300万トンが生産される。中でもエヤワディ河のデルタ地帯はミャンマー生産量の約半分の米が生産される“米どころ“になっている。
    その中心的な町はマウビンでダゴンエアー バスターミナルからバスが出ている。アウンミンガラー バスターミナルという北部に行く長距離バスターミナルがあるが、ダゴンエアーは西部とエヤワディデルタ地域に行くバスが集まっている。

    マウビン行きのバスは数社のバス会社から出ている、バス会社を選ぶには数人から、どのバス会社がいいか?聞いた方がいい。運賃は一律に片道1000KSの指定席バスです。
    マウビンはダゴンエア バスターミナルからバスで約2時間かかる、エヤワデイ河沿いの町だ。米の物流の拠点であり、多くの精米所がある、ヤンゴンにはタワンティ運河を使って米が運ばれる。マウビンのバスターミナルからサイカーにのり船着き場に行く。500Ks。
    サイカーとはサイドカーのことで自転車の脇に座る場所が前後にある、近距離の移動手段です。荷物があったり、道が分からない時に便利。
    彼らは何時もヒマしているので地元のことは何でも知っている。沢山集まってきて“あーだ、こーだ”と言い合い、行く場所が決まる。しかし、何時も正解とは限らない。今回はヤンゴンまで船で帰りたいというテーマで彼らにとっては初めての質問なのだ。結局、間違えたところに連れて行かれた。
     日本で5年間、目黒で働いていたという人に出会った。彼の友人も15年東京で働いていたそうで、2つの店を船着き場の近くに構えている。
    ヤンゴンまで船で帰りたいと頼むと、調べてくれたが明後日になるというのであきらめ、次のチャンスを待つ事にした。ミャンマーでは“あきらめ“をミャンマースタイルと見切って我慢することがミャンマー生活をするのに重要な秘訣だ。

    雨期が終わる10月ごろから農家の人たちは米の耕作について会合を開く。従来は米の耕作には黒豆が作られていたが、より収益の高い可能性のあるトウモロコシの作付けを農家に説明した。農家にとっては死活問題なので真剣だ。出来た物を買い取ってくれるのか?タネ代の支払い、肥料の支払い、どうしてくれるのか?結局、リスクは友人が持つことになり、タネ代、肥料代は後払いとなり、出来高から差し引くことで合意した。70ヘクタールの農地にトウモロコシが植えられた。

    収穫直前のトウモロコシ畑、エヤワディ河の際までトウモロコシが植えられている、土地は肥沃なデルタ地帯である。トウモロコシで15万円の収益を得る事ができた。この事が、口伝えに伝わり来シーズンは多くの農家がトウモロコシを植えることになるだろう。すべては人のつながり社会だ。誰がリスクを持つのか?リスクを持てる人が地元の顔聞きを説得し、口コミで広がる社会だ。
     エヤワディ河はイラワジ河と呼ばれていた。ヒマラヤ山脈を水源とする全長約2200kmの大河である。エヤワディのデルタ地帯は大河に囲まれ主要道路は国道5号線が西部の町パテインに繋がるだけで、多くの中州、島へは船で行くしかない。

    エヤワディ地区は2毛作が行われる。水があれば稲は育つ、米の収穫が終わる乾季にも河の近くで水が得られる場所は田植えが行われている。米の収穫が終わり、米の天日乾燥から精米工場へと季節が動いている。

    米の乾燥は乾季で全く雨が降らない11月から12月に天日に干しておこなう。雨は降らないから日本のように竹で棚をつくる“はざかけ“は行う必要がなく、土の上に積み重ねて乾燥させる。乾燥した米はその場で脱穀する、移動すると米が落ちてしまい収量が少なくなる。脱穀した米は更に道路や空き地で天日乾燥する。自転車、車、まして犬が米の上を通っても構わない。乾燥が終わったら精米機にかけて籾殻を取り除く。ここで問題になるのが機械の処理能力と精米加工の善し悪しだ。ここの精米所は時間6トンの処理能力の機械がある。近くの農家が運んでくる米は数百トンになり、道まで保管場所になる。24時間操業でも処理しきれない。また、長い米なので、粉砕米が沢山できてしまい販売価格が安くなる。中国製の精米機の問題点は知りながら初期投資金額から日本製は買えない。一袋50kgの籾付き米から精米するのに農家は60円を精米所に支払う。100トン精米して12万円の収入が投資回収にあてられるが採算ラインに載るのは難しい。籾殻と米糠が精米所が無料でもらうが、大型投資は難しい。

    米の価格はヤンゴンのスーパーで売られている米はポーサンという種類で1vissが2000Ks=200円、重さの単位はVISSといい、1vissは1.6kgである。従って1kgは125円だ。米の価格はヤンゴンのスーパーで売られている米はポーサンという種類で1vissが2000Ks=200円、重さの単位はVISSといい、1vissは1.6kgである。従って1kgは125円だ。

    乾季に入りお米の収穫の時期になると各地でお祭りが行われるのは何処の国でも同じことだ。パテインの町に中国の福建省から来たミャンマー人のお祭りが毎年開催される。頬に鉄串を刺した祈祷師が来年の運勢をつげると祭りは絶好調になり真剣な目つきになる。中国移民により100年以上続けられているお祭りだ。
     ミャンマー中国人の結束、パワーを感じる。しかし、参加者に若者の姿が少ないことが気になる、5世代、6世代と続けられるのか疑問だ。
    エヤワディ河の支流が入り組んでいるデルタ地帯は道路を架けるには川幅が広くて、沢山ありすぎる。100年経過したとしても孤立した集落が残ると容易に想像できる。集落ごとに自立の道を歩むしか無い、米は毎年できる。魚はいる。豊かな自然が残されている。ミャンマーでは米の籾殻から籾殻発電をすることが始まっている。電気が確保されれば農産物を加工することが出来る。1日の労働収入は200円から300円、もちろん雇用保険などはない。炎天下の仕事であろうと、道のホコリの中での石運びであろうと、船からの石運びであろうが、一日200円もらえれば20歳の女の子ですら働く社会だ。大分県の「一品一村」の取り組みのような仕組みがこのデルタ地帯に出来ればいいと思う。
    友人の会社では籾殻発電装置を設置している。大型冷蔵倉庫の電気供給をする。毎時100kgの籾殻を燃やして250kwhの電気を発電する。
    日本のジーゼルトラックの中古エンジンに籾殻から発生するガスを送り込み燃焼させてピストンを動かしダイナモで発電する仕組みだ。
    “米どころ“エヤワディ地区を歩いてみて、ミャンマーの自然、人情にふれることができた、自然を保ち、生活を便利なものにしていく為には、エネルギーの元である電気をどのように作るか?そして1日200円で働ける職場、仕事を作れるかが、エヤワディデルタ地帯の課題であると感じた。公害を経験し、環境技術大国になった日本が貢献できる場所がここにある。脱原発での電気発電を模索する日本の技術が貢献できると考えさせられた。

    <テリー先生>
    本名宮川照男。1949年、平塚市生まれ。早大理工学部卒業後、山武ハネウエル(株)入社。
    1988~1992年、同社米国駐在所長を経て独立。野菜工場設備会社(有)アイエスエス設立。スプラウト栽培を日本に紹介、普及させる。その後、東海大学湘南キャンパス、チャレンジセンター特任職員として「ものつくり」「環境キャラバン隊」などを指導。2012年退官し、2013年5月より、ヤンゴンにて農業視察、調査を開始。
    Yezin Agricultural 大学の学長らと、ミャンマー農業支援について討議を重ね、現在、同大学とヤンゴンのElephant Seed 会社と種子生産についての技術提携を計画中。小型飛行機操縦士免許取得。

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