◎第8回 テリー先生ヤンゴン滞在記

古都バゴーの木工工芸品

目次

    昔から言われている事ですが、人との出会いは小さなきっかけから始まります。友人がマンダレーのお寺にバスを借り切ってお布施を寄進するとの事なので一緒に行きました。その時に、友人のお父さんから、ミャンマー政府機関の「SmallScale Industry」という役所の責任者である政府高官を紹介された。ミャンマー各地にあるお土産物が何処でどのように作られているのか、以前より興味があり、いろいろ質問したところ、4月に日本の熊本でフェアートレードの世界大会があるので参加すると、旅行日程表を持ってきて見せてくれた。その予定表にNPO法人のアジアクラフトリンク(ACL)の斎藤秀一理事長の名前がありました。

    ミャンマーでも大分県発案の『一村一品』OVOP(one village one product)がよく知られていて、日本の取り組みを視察したいとのことでした。インターネットでアジアクラフトリンクを検索してメールを送りましたところ、斎藤さんから、ヤンゴンに来た時に会いましょうと返事が来ました。
     バゴーという町で木工工芸品組合に対して日本の木工品の説明会を開くので参加しないかとお誘いいただきました。

    バゴーはヤンゴンから北東へ80km、車で所要時間は約2時間です。バゴー王朝の首都であった歴史のある古都で、西暦994年にモン族によって作られたという全長55mの涅槃像など多くの歴史遺産がある静かな町です。近郊には森があり、木工産業が発展しました。マハーゼディー パヤの近くに木工組合があります、NPO法人のACLの斎藤理事長が日本の工芸について何回か説明会を開き交流をしています。50名ほどの地元の木工職人が熱心に日本の工芸品の情報を聞いていました。

    その中の責任者に、”おにぎり”の型を作ってくれないかと話したところ、作業場に連れて行かれて作ってくれました。木工機械は一台のモーターがベルトを取り替えることで多くの研磨機を動かす方法です。モーターの回転は定速回転ですが、大きさの異なるフォイールにベルトをかけて研磨機の回転数を変える方法です。まさに職人芸を見る事ができました。お母さんに挨拶したら、喜んで写真を取らせてくれました。古都ですから多くの人がこの地に来ているせいか、異文化の人への抵抗感がないようです。組合長はモン族の人で、タイ国のカンチャナブリ県との境にある町から移住してきたそうです。

    「紫檀,黒檀,たがやさん」と語呂合わせの好い言葉を昔に聞いたことを思い出しました。日本で昔から珍重されている三大銘木です。まさに、これらの硬い木を使い手作りでいろいろな製品が出来ていました。これらの製品の販売先はヤンゴンの有名なお土産物市場のボージョーマーケットにもありました。箸、スプーン、靴べら、そしてボールペンまで木工品で作られたものが売られています。天然素材はプラスティックと違い、それぞれが違う模様、色合いを持っています。ミャンマーの地場産業の発展には、日本の地場産業の経験が貴重な貢献をするものと感じます。木工製品に限らす、織物、染色、陶芸など多くの地場産業が日本にあります。「ローカルにしてグローバル」バゴーというミャンマーの古都のローカル製品が世界最高品質を持つ天然素材と交流会を通じたきっかけでグローバル製品になる。今回の小さな説明会では、日本の工芸品を真剣に学ぼうとする人達から、学びへのエネルギーをいただいた旅でした。

    <テリー先生>
    本名宮川照男。1949年、平塚市生まれ。早大理工学部卒業後、山武ハネウエル(株)入社。
    1988~1992年、同社米国駐在所長を経て独立。野菜工場設備会社(有)アイエスエス設立。スプラウト栽培を日本に紹介、普及させる。その後、東海大学湘南キャンパス、チャレンジセンター特任職員として「ものつくり」「環境キャラバン隊」などを指導。2012年退官し、2013年5月より、ヤンゴンにて農業視察、調査を開始。
    Yezin Agricultural 大学の学長らと、ミャンマー農業支援について討議を重ね、現在、同大学とヤンゴンのElephant Seed 会社と種子生産についての技術提携を計画中。小型飛行機操縦士免許取得。

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