◎今月の視点 メディアの報道姿勢と責任。偏向報道の怖さと弊害

どうやら雨期は終焉を迎えつつあるようだ。

国内の主要都市にも標的を移した武装集団 不法移民に無条件で国籍を寄与する国はない

どうやら雨期は終焉を迎えつつあるようだ。8割がた峠を越し、季節的にはいよいよミャンマーはさわやかな乾期の到来となる。しかし、国内をみると、とても「さわやか」などといっていられない状況になってきた。  先月5日の朝、在ミャンマー日本国大使館からの緊急メールが入った。ミャンマー国家最高顧問府から爆弾事案発生の可能性に関する注意喚起が発信されたという内容だった。武装勢力が「世界の注目をさらに集める」ため、首都ネピドーやヤンゴン、マンダレーを含むミャンマーの都市で爆弾攻撃を計画している」との声明を出したのだ。これまで西部ラカイン州で起きている紛争は、我々外国人、少なくとも当方個人はあくまでミャンマーの内政問題というとらえ方をしていた。しかし民間人への「爆弾テロ」云々と聞けば、これはもうそんな悠長なことを言ってられなくなってきた。  紛争の火種になっているラカイン州の100万人ともいわれるイスラム系住民は、その大多数が1966年に当時の隣国東パキスタン(現バングラデシュ)との国境確定後に越境してきた不法移民だという。しかし、問題を複雑化しているのは、それ以前にこのあたりがミャンマー人と南アジアのイスラム系民族が混在していた曖昧なエリアだったことだ。英国占領下と独立の混乱期に、ベンガル地方(現在のバングラデシュ~インド北東部)から保守的なイスラム教徒が多数やってきて、このあたりで独自のコミニュテイーを築くようになったと言われている。だからすべてのイスラム系住民を不法移民と断定する事には多少無理がある。だが、ミャンマー政府が自国民と認めていないのは、少なくと1966年以降に不法に越境してきたイスラム教徒とその子孫たちである。ミャンマーの国籍法は、国籍が取得できる対象者を「19世紀初頭からミャンマーに居住する民族」に限定しているのだ。  人道的な感情論を一切排し、法の観点から冷静にそして厳格に考えれば、国民の生命財産や文化伝統や国益を守らねばならない独立した法治国家である以上、不法移民に無条件で市民権や国籍を与える国はない。ましてや領土の一部を与えて自治国家を作らせるなんて話は論外であろう。そんなことをしていたら、不法移民に対して歯止めが効かなくなる。  ミャンマーは東南アジアで最も敬虔な仏教国であり、国民の90%近くを占める国だ。だから一夫多妻制で、食生活や宗教的戒律も異なるイスラム教徒をこれ以上受け入れ、共存していくのは土台無理な話である。ミャンマー市民に聞いても、ほとんどの方がこの問題に関してだけは、ノーを突きつける。

武装勢力の悪事は報道されない 憶測で物をを書く日本の大新聞

しかし、日本を含めた欧米のメディアや国際的な人権団体とやらは、この問題に関しては一方的にミャンマー政府への批判を続けている。その図式はミャンマー政府、国軍が悪で、ラカイン州のイスラム系住民は迫害、虐待され、悲惨な目に遭っているというもので、欧米やイスラム諸国系のメディアは連日このニュースを加熱気味に報道している。  確かに、昨年10月9日に武装勢力による国境警備隊施設を襲撃する事件が発生し、今年8月25日には、武装勢力がマウンド―地区の24か村、19警察署と軍施設を襲撃してから、治安部隊が迎撃、掃討に乗り出し、テロ集団化した武装勢力との間で激しい戦闘が行われている。住民のなかには巻き添えを食った人や難を逃れてバングラデシュへ避難した人も多数続出しているといわれている。  しかし国営新聞は、武装勢力が同胞を殺害したり、家屋に放火したり、国連や世界の支援団体から届いた食料を彼らがアジトに大量に秘匿していたという事実も報じた。むろんこのニュースとて実際に見たわけではないから100%信用するわけにはいかないが、少なくとも彼ら過激な武装勢力が意図的に現状を悲惨化し、すべて国軍の仕業に見せかけて国際社会にアピールしている節もあるのではないかと思えてくる。先月の国内都市への爆弾テロ声明を聞くと尚更その感を強くする。しかし海外メディアや人権団体はこうしたニュースには一切触れようとはしないのは何故なのか。  これは多くのメディアが一度描いたシナリオに都合の悪い部分は無視するか、最小限にとどめる傾向があるからではないか。軌道修正するにはかなりの英断がいるのだ。  先月7日の朝日新聞の天声人語にこんな一文が載った。「~略、130を超える民族を抱える多民族国家が、それから融和の道に進んだとも思えない▼象徴が、少数派のイスラム教徒ロヒンギャの扱いだろう。不法移民と決めつけられ、参政権も移動の自由も認められない。国軍による掃討に脅かされ、安全な地を求めて川や山を越える様子が報じられる。隣国に逃れた人は12万にのぼった▼やるせないのは、これがアウンサンスーチー氏率いる政権の下で起きていることだ。ノーベル平和賞に輝いた民主化の星である。軍の力が依然強いことを考えても釈然としない。以下、略」これはひど過ぎる。落胆する。天下の朝日の論説委員が、ご自分で現状を見てもいなくせに、世に出ている報道を鵜呑みにして憶測で書いている。ミャンマー政府がいたずらにイスラム系住民を迫害しているとの論法で、肝心のテロ集団化した武装勢力掃討という事実が欠如している。そしてこの問題はミャンマー国軍そしてスーチー氏が悪いと決めつけ、大向こう受けするような調子で一方的に書いている。しかもミャンマー政府が認めていないイスラム系住民の俗称を軽々に使っているからもう何をかいわんやである。 メディアは本当に真実を伝えているのか ミャンマ―政府は毅然たる声明を世界に  こんな姿勢でラカイン州で本当に何が起きて、どうなっているのか真実を報道できるのだろうか。事はミャンマーに限らず、日本を取り巻く朝鮮半島情勢にしてもTVを含めた一部メデイアの偏向報道にはもう我慢ならない。核やミサイルを脅しの材料に使う国から、すでに日本列島の上空を飛んで太平洋に打ち込まれているのだ。それでもなお、一部のメディアや政党は、安倍政権が戦争に巻き込もうとしていると、寝ぼけたことを言っている。多くの在日同胞がいる日本によもや攻撃するとは思えぬが、所詮人間のやることである。軌道計算を間違ったり、自暴自棄になることだってあるのだ。  1991年の湾岸戦争時、米軍によるイラク攻撃が始まると、フセインは保有するスカッド・ミサイルを米国の同盟国イスラエルに大量に撃ち込んだ。この時はイスラエルが迎撃ミサイルで防衛したが、その撃墜率はわずか40%に過ぎなかったと報告された。当時より精度は格段に上がっているとはいえ、もはや「専守防衛」の典型であるミサイル防衛とて決して完璧ではないのだ。そしてもし、このときにミサイルに核が積まれていたとしたら、1発の撃ち損じがあってもイスラエルは 壊滅したといわれている。  朝鮮半島情勢は、今、望むと望まざるに関わらず、すでにそうした危険水域になってきているのだ。それでもなお日本の左翼といわれる勢力とメディアは、安倍政権が日本を軍国化して戦争に巻き込もうとしている、という図式とシナリオに固執している。坊主憎けりゃ袈裟まで憎いの論法だ。  もちろん、誰も戦争や紛争は望まない。できることなら平穏無事に幸せに暮らしたいと思うのは必然であろう。ミャンマーとてそうだろう。何も好き好んで国軍が掃討活動をしているわけではない。すでにテロリスト化した武装集団とやらが、主要都市で行動を起こそうとしている危機感から対処しているのであろう。だから国連や国際的な人権団体とやらが「民族浄化」などと決めつけているのは的外れだ。これもメディアが一方的な主観で偏向したニュースを垂れ流したり、何者かがフェイクニュースを拡散させたりしている事にも起因しているのではないか。  ミャンマー政府によって設立されたアナン元国連事務総長を委員長とする調査諮問委委員会は、先ごろ政府に「国籍法を改正し、国籍を取得できる制度に改めるよう」求めた。移動の自由も認めるよう勧告した。しかしながら仮にミャンマー政府が彼らイスラム教徒に国籍を与え、受け入れを表明したら、この国はおそらく大混乱になるだろう。デモ、暴動が頻発し、今度は仏教徒から政府が標的にされる事は目に見えている。 もしろん罪もないイスラム教徒を弾圧したり、迫害したりすることは絶対に許されない。しかし、ミャンマーは言われなき濡れ衣を晴らすためにも、現状を詳細に公開し、国際社会に自国の立場と主張をもっとアピールしていくべきではないか。必要があれば国民投票でも実施し、「大多数の国民の総意として不法移民を受け入れることはできない」という声明を世界に発信するぐらいの毅然たる態度を示さないと、この問題は増々こじれていき、ミャンマーは世界から孤立していきかねない。 当方は資格的にはミャンマー国民ではない。しかしこの国もう7年もいると、心情的には市民の意識でこの国の行く末を危惧する。これまで政治的な問題に言及するのをあえて避けていた。が、メディアの一員として今回だけは言わせてもらった。

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