◎今月の視点  観光立国を目指すのならば、「サービス業」への意識を改革せよ

さわやかこのうえない。朝晩は20度を切り、雨季 のまとわりつくような湿気もない。

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昨年、外国人観光客が350万人に ホテルの開業、建設ラッシュが続く

さわやかこのうえない。朝晩は20度を切り、雨季
のまとわりつくような湿気もない。12月から2月初
旬にかけては、俗に“黄金のシーズン”と言われているが、連日、厳しい寒波のニュースが聞こえてくる日本とは異なり、まさに別世界の感がある。
こうした絶好の季節だからこそ、欧州の厳寒地から
の観光客がやたら目につく。ミャンマー西海岸のチャ
ウンターやガバリといったビーチリゾートには、想像
以上の西洋人が押し寄せていると聞く。ちなみに今年
初めにホテル観光省が発表した統計では、昨年1年間
で実に350万人の外国人観光客が来緬したそうだ。
観光収入も前年比22%増という盛況ぶりだという。
政府は、今後観光客が500万人を突破するのも時間
の問題と見ているようだ。
こうした状況を反映してか、昨年からミャンマーで
はホテルの建設、開業ラッシュが起きている。5つ星
からプチホテルまで開業が相次ぎ、数年内にダウンタ
ウンだけでも数軒の大ホテルがオープン予定だ。民政移管後、この国への投資や進出といったビジネス動向ばかりに焦点が当てられたが、ここへきてミャンマーのピュアで未開拓の自然や観光資源にも、国際的な関心と注目が集まってきている。

需要と供給のバランスが噛み合わず 5つ星でも殿様商売では先行き不安

しかし、異常ともいえる宿泊料金はどうにかなら
ぬのか。新規ができても、それを上回るゲストが来
緬するから、結局は需要と供給のバランスが噛み合わない。そうなると賃貸住宅の家賃にもしわ寄せがくる。
隣国のタイやその先のカンボジアでは、50ドルも出せばそこそこのホテルに泊まれるが、ヤンゴンではそうもいかない。それどころか200ドル以上出しても設備はともかく、サービスやオペレーションの問題で、首をかしげたくなることが少なくない。
 あえて名は出さぬが、インヤ湖そばの老舗ホテルでは、昨秋、宿泊した当方の友人が、バーやレストランでの飲み食いをサインで済ませたら、何の理由だかわからずにスタッフが慌てて追いかけてきて、現金払いを要求されたという、5つ星では信じられない出来事が宿泊中2度も起きた。また、昨年暮れ、別の知人がチェックインして部屋に入ったらまだ客がいた、と血相変えて戻ってきた。フロントが再チェックしたら、メイドが掃除中という顛末だったが、夜の7時にそれはないだろうと、知人はこのホテルの品格を疑った。
 これから、海外の名門ホテルが続々と上陸してくる。そうなるといくらこの国では老舗といわれても、この体たらくでは、そしていつまでも殿様商売気分でいたら、外資系には絶対に太刀打ちできない。売り手市場の内はいい。供給が追いつき選択肢が増えたら、客はシビアで冷酷だ。

サービス業への意識が希薄で改革を 期待を裏切ることだけは無きように

ホテルを含めた観光業とは、いうなればサービス業
である。したがって客はサービスの対価として金を払
うし、高い安いはその内容によって決まる。だからい
くら設備が豪華でも、どんなに食事が美味でも、1度でも後味の悪い思いをすれば。すべてが帳消しになる。ミャンマーのことを危惧するからあえて言わせてもらえば、この国には“サービス業”という概念が希薄だ。
いや、ないかもしれぬ。スタッフの態度とか、設備上の欠陥とか、細かい不満はきりがないが、究極の問題として、トラブルが発生したときに、だれ一人として責任を取ろうとしないことが非常に悲しい。散々たらい回しにされて、結局、責任者が不在とか、なんだかんだ言って客がうんざりしてあきらめるケースが少なくない。先の老舗ホテルの場合もそうだった。「お客様は神様」とか「おもてなしの精神を」とまでは言わないが、少なくとも隣国が1千万人以上の観光客を集めた「微笑みの国」のようなキャッチを考え、対外的に「癒
(いや)しの国へ」くらいの観光キャンペーンを国を挙げて張れぬものなのか。そして、本当に外国人観光客を敬う意識を根付かせていかないと、せつかく来緬者が急増し、外貨収入が増え、観光立国を目指そうとしているミャンマーへの期待が裏切られることにもなりかねない。世界遺産候補が目白押しで、地方に行くと当惑するほどの心優しき人々に出会えるこの国の素晴らしさをアピールし、一人でも多くのリピーターを生むためには、「サービス業」への認識を新たにし、それに従事する方、そして関係者の方々の意識を高めていただくしかない。

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