◎今月の視点 官民一体となってこそ、真の改革は進む

3月の声を聞くとこちらは“春”。だが年中半袖でい るから四季の感覚は薄い。

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季節は春だが雨季の足音も聞こえる 名花「サクラ」や「パダウ」の開花へ

3月の声を聞くとこちらは“春”。だが年中半袖でい
るから四季の感覚は薄い。1,2月はさすがにエアコンいらずの日が多かったが、これからはそうもいかない。日中の気温は上昇し、来月中旬のお正月に当たる「水祭り」あたりには40度前後の酷暑となる。
日本はサクラの開花が待ち遠しいが、ミャンマーでは「パダウ」という黄色い花が有名で、これが咲くと、いよいよ雨季の到来だ。サクラは1週間程度の命だが、パダウは水祭りが終わるころに降る雨で一斉に開花し、数日間で枯れる一夜花だ。この匂いかぐわしい花をミャンマー女性たちは髪飾りにするほど親しまれているが、意外にも国花ではない。法制的には仏教の3大聖樹と呼ばれる「沙羅双樹」というツバキ科の白い花がこの国のシンボルだ。日本はサクラと菊が国を代表するが、これもまた意外だが、法で公式に制定されているわけではない。ところで、話は少しさかのぼるが、先月号で当方はこの国のサービス業の問題点と改善を真摯に提案した。弊紙ミャンマー語版は、ヤンゴン管区行政府機関が集まる旧国会にも毎月定時配布している。
すると、配布した数日後にホテル観光省が実にタイムリーな発表をした。「2015年のホテルの開業申請には、トレーニングを受けたスタッフが60%以上必要」という画期的な通達だった。

腹を決めると色々な物が見えてくる 緩やかだが着実に進む社会改革

ミャンマーという国へどっぷり浸かり始める以前は、
正直いって異国から来た傍観者的な視点でこの国の動き
を見ていた。だから電気が止まろうが、車が増えて渋
滞になろうが、たとえ不条理なことが起こっても、嫌
気がさしたら「帰ればいい」と、ある種、ずるい逃げ道を作っていた。しかし一旦腹を決めると、それまで見えなかったものが浮き彫りになり、無視していたことが看過できなくなった。そうなると先様が余り聞きたくないと推測される話でも、少々辛いが、あえて公に苦言を呈すように心掛けてきた。今回のサービス業改善提案も意を決して書いたが、聞く耳を持っていただけとしたら、これはメディアの人間としては本望である。
先の大戦後から同じような状況を克服してきた我々日本人にとって、まだ歯がゆい場面は多々あるが、このところ、緩やかだが、インフラや法整備を含めて、少しずつ変革に向かいつつある流れや雰囲気を体感できるようになった。
停電回数はめっきり減った。外資参入で携帯も非常に入手しやすくなった。米国の経済制裁は全面解除ではないが、クレジットカードの普及も広がり、送金も緩和された。永住権申請も可能になった。住宅ローンや民間保険も動きだした。既存空港の改修や新空港計画も現実化した。ホテルや複合施設も建設ラッシュだ。海外旅行も団体ツアーに限って緩和された。問題の交通地獄もバス専用レーンの設置、駐車違反の取り締まり、車庫の義務付けなど、何とかしたいという意図はひしひしと伝わってくる。観光客が増え、投資も伸びてきた。細かい反論、異論はあるかもしれぬが、試行錯誤を繰り返しながらも、改善へ、というミャンマーの心意気は痛いほど伝わる。

未だに解せぬ不動産の悪しき慣習 官の努力も民の協力なしではできぬ

しかし未だに理解不能なのは、地主や不動産を持つ大
家さんたちの考え方だ。賃借人は1年前納という習慣
にまず違和感を覚えるが、当該物件に不具合が出ても、
契約後であれば賃借人の責任にされるケースが多いのは何故なのか。水回り、配管など、入居時にチェックできぬ場所のトラブルでも然りだ。「引き渡し時に異常はなかった」という一方的な論理で片づけられるのが落ちだ。しかも1年後の更新時には、大幅な値上げを余儀なくされる。先方は近隣の相場に敏感で、妙な入れ知恵をされて倍額も珍しくない。そこで契約の延長でもめるが、常識的には空きにしておくより、貸したほうが身入りになるのにと思うが、あちら様はどうもそういう思考にはならぬらしい。どうしてこうなるのか。せっかく行政側が構造改革を推し進めようとしている矢先に、影響力を持つ民間人がこの横暴ともいえる強欲な意識では本当にやるせない。これでは意欲に燃える起業家や社会貢献に情熱を傾ける方々の出鼻を完全にくじく。なぜそのことを理解していただけないのか。日本人すべてが潤沢な資金を持ってきているとでも思っているのだろうか。
 いずれにしてもこの悪しき慣習により、これまでどれだけ公益性を持った人々が二の足を踏み、去っていったか。もういい加減、民間人とてそのことに気づいてもいい。この国が本当に真の改革を推進しようとするならば、是非「官民一体」となっていただきたい。

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