◎第23 回 テリー先生ヤンゴン滞在記

「雨季の西海岸 ― その1 Sinma」

目次

    「8月は夏休み。海へ行こう!」。日本人の多くの人が抱いているイメージではないか。しかしここヤンゴンはまだ雨季。雨の日がつづくが、無性に海が見たくなった。私が大好きな「Ngwe Saung Beach」(ヌエサンビーチ)にバスで行くことにした。雨季にはもちろん行ったことがないし、ミャンマーの友人は、「2人が溺れて死んだ」と脅かす。天気予報も、この原稿を書いている7月末には台風がインド洋にあり、大荒れの状態がつづくという予報だった。

    行きたい気分が先行した、調べてみると、ヤンゴンのパンソーダン通りにあるバス会社が毎週末の金曜日の夜9時発で翌日の4時到着でバスを出している。宿泊先ホテルのヤンゴン事務所は、同じくパンソーダン通りにあった。シーズンオフなのでのホテル、飲食店の営業確認などを事前に調べる必要があった。泊まる所と食事のできる場所がOKであれば行くしかない。
     雨の中で何をやるか、釣りしかないだろう、ヤンゴンで釣り道具を買えるか、探してみると29番通りにあった。針と糸を調達した。湘南海岸育ちなので、幼いころから、海釣りをした。雨天の釣りは沢山魚が釣れる。インド洋の魚も雨でお腹がすいているのではないか期待が膨らんだ。

    実はこの旅は7月30日で「Blue Moon」が4年ぶりに出る日。ひと月に2回の満月が出る月を「Blue Moon」というらしいが、目撃すると幸運が得られるというめでたい月なのである。そんなわけで、インド洋に沈む「Blue Moon」を見るために、無理を承知で雨季の西海岸に向かった。
     夜9時にアウンサンスタジアムからバスが出た。乗客は家族連れ2組、カップル3組、独身男性3人とガラガラの状況。バスの乗務員が、泊まるホテル名を聞いてきた。朝の4時に到着予定なのでホテルまで送り、2日後にホテルまで迎えに来るという。バス料金は往復で18000KSであった。独身男性に聞くと25000Ksという。どうも買う場所で値段が異なるらしい。
    朝の5時にホテルまでバスが送ってくれた。クラクションを鳴らすとホテルの従業員が迎えに来てくれた。
     ミャンマー人の地元の友人に聞くと、この日は「Sinma」でお寺へのドーネーションをする日らしい。オートバイで会いに行くことにした。「Ngwe Saung Beach」から南に2時間の距離である。何回か行っているので、要領はわかるが、運転手付きのオートバイでなければ外国人はいけないという。10000Ksで友人の知り合いの運転手を頼んだ。途中の道は、川になっている。橋も水に浸かっている。やはり雨季だった。

     「Sinma」についた。お寺でドーネーションしている友人に会った、お祈りを受け、食事会に誘われ、お坊さんにお布施を渡すことができた。
      日本語を喋れる老人がいた、「ごはんをたべろ」「ブタ」「サカナ」と片言の日本語がでる。年は77歳というから、70年前に日本軍が駐留していたころは7歳前後だったであろう。お寺の一番偉いお坊さんにヤンゴンプレスのミャンマー語版を渡した、初めて見る新聞を読む目が真剣だ。 この場所は、2つの島が沖合にあり、河口が港になっている。日本軍が駐留する場所として選んだ理由だろう。亀の形をした亀の島、乾季には歩いて渡れる。 

     私の友人の家が「Sinma」の目抜き通りにあった。泊まっていけと言われたが、雨季なので帰り道が心配なので明るいうちにホテルに向かう。隣近所の人たちも異邦人に興味があるのか、こっちへ来いと声をかけてくれる。3か月前に生まれた子供が自慢だ。女の子である。
     帰路は海岸を走る。来るときは満ち潮だったので海岸線を避けたが、帰りは引き潮なので海岸が走りやすい。途中日本では見られない光景に出会う。手でひく渡し船。そして、荒い海での砂利取り作業。
     3時間かかりホテルに戻る。幸いなことに、雨にたたられることのない初日であった。次号では、旅の2日目、朝4時に起き「Blue moon」に出会い、チャウンター海岸まで行く話を紹介したい。

    <テリー先生>
    本名 宮川照男。1949年平塚市生まれ。早大理工学部卒業後、山武ハネ
    ウエル(株)入社。1988から1992年、同社米国駐在所長を経て独立。
    野菜工場設備会社(有)アイエスエス設立。スプラウト栽培を日本に紹介、普及させる。その後、東海大学湘南キャンパス、チャレンジセンター特任職員として「ものつくり」「環境キャラバン隊」などを指導。2013年5月より、ヤンゴンにて農業視察、調査を開始。Yezin Agricultural 大学の学長らと、ミャンマー農業支援について討議を重ね、現在、同大学とヤンゴンのElephant Seed 会社と種子生産についての技術提携を計画中。小型飛行機操縦士免許取得。teruomiyagawa@gmail.com

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