◎発見|Discovery がんばろう!ミャンマー! Pray for Myanmar「被災地への支援活動報告」

全体の約16%の集落が一瞬に消滅した いまだ2次災害に怯える村の現状を憂慮する 取材・文  テインギ・アウン  本紙副編集長

目次

     今回の支援先はバゴー管区の Min Hla 村だった。西へ約32㌔行ったところには大河エヤワディが流れている。朝5時にヤンゴンを出発し、10時半には村に着いた。そこからさらに約28㌔離れた Moe Nyo 地区を目指した。この付近には小さな集落が点在し、5、6㌔奥に入ると、Pauk Kone 、Zee Pin Kone、Ma Gyii Kone など、木の名前が付けられた集落が立ち並んでいる。

    目の前には田畑を縦断して押し寄せてきたエヤワディ河の水流が茶色ぽっく広がっていた。樹齢数十年、数百年の濃い太い樹木が並んでいることから、昔から林業や農業を生業としてきた地域であることが分かる。位置的にはバゴーの北西側にあり、Myit Ma Kha 河がエヤワディ河に流れ込む中州地帯にある。しかし村はこの河と堤防だけで仕切られていた。数百年前に作られたという堤防は、これまで幾多の水害から村を守ってきたが、今年は様相が違った。想像を超える過酷な水量に耐えきれずに、ついに決壊してしまったのだ。豆と米が特産のこの穀倉地帯は、損失を推察できぬほど、見るも無残に水没してしまった。

    私たちが持参したのは支援金と毛布、クッキーなどだったが、まず村の総合僧院MahaThondra Yamaに立ち寄り、寄贈物をお渡しするために、村長や区長を集めていただいた。僧院長のU Eain Sariya様は、北部Mon Ywa のご出身で、長らくマンダレーに駐在してきたそうで、4年前からマンダレーの総合僧院長のご指示により、この村にいらっしゃったとのことだ。その僧院長にお話をうかがった。
    「私がここに来てから4年なるが、これまで雨季には多少洪水状態になることがありました。中州地域ですからそれはある程度仕方がないかもしれません。でも、今年は違いました。あっという間に、恐ろしいスピードで水が入ってきたのです。逃げるゆとりもなく、一面見渡す限りの泥の海になってしまいました。幸いにも亡くなった方はいませんでいたが、泥海の中で浮かんでいる水牛たちの哀れな姿が、今でも瞼から焼き付いて離れません。もちろんこの僧院の床も浸水してしまい、水が引いた後には蛇の危険にさらされました。掃除をしていると、あっちこっちから蛇が出てきたのです。だけど仏様に仕える身である我々僧侶としては、たとえ蛇でも命を奪うわけにはいかない。しかし始末しないと僧院に避難してきた住民たちが危ない。もう命をかけた状態が何週間も続きましたよ」。

     最後に浸水戸数をお尋ねした。
    「洪水災害に遭うまでは360戸で
    したが、現在少し落ち着きました
    ので300戸ぐらいです。だから
    60世帯が災害時期に流されて消
    滅してしまいました。もう、こ
    れ以上被害が広がらないように
    願っています。今後は、情報を
    隠したり、困っている人を無視
    したり、被災者たちへの援助を
    邪魔したり決してし
    ないようにお願いし
    ます」。卒直にそし
    て誠実に事実を語る
    僧院長のお話しに私
    たちは少なからずシ
    ョックを受けた。 陽が暮れる前に、私たちは村を離れた。南下してきたエヤワディ河の水流が危険水位になりつつあるという。まだ余談を許さない状況が続いている。ヤンゴンへの帰路、何匹かの蛇を見かけた。僧院長の話で、泥海の中でさまよう動物たちのこと、仕方なく殺生せざるおえない人々の無念さ、農地を失った心細さなど、様々な思いがこみ上げてきた。被災者の方々が1日も早く立ち直っていただくことを祈ってやまない。

    Tags
    Show More