◎今月の視点 政治力だけで国は変わらぬ。悪しき慣習を断ち切る覚悟を

水害の影響はまだ尾を引いている。特に北西部は復興に相当時間がかかりそうだという。

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雨季は去ったが被災者はまだ苦しむ ミャンマーの乾季は黄金シーズン

水害の影響はまだ尾を引いている。特に北西部は復興に相当時間がかかりそうだという。弊紙でも引き続き支援を続けているが、一刻も早く再起できることを祈るばかりだ。
 例年、10月の声を聞けば、雨季が終焉を迎え、1年で最も魅力的な乾季が到来する。湿度が下がり、朝からカラッと晴れた日が続き、邦人ゴルファーの方々のコース通いも活発化する。
 この季節になると、少々早起きして、雨季にたっぷり水分を補給して瑞々しさを増した森の緑を眺めながら、湖畔のビストロで朝食をとる。柔らかい光が湖面を照らしキラキラと輝き、幾分ひんやりとした空気が肌を伝わってくる。時間がスローに流れ、実に心地よい。ヤンゴン生活での至福のひと時である。
 しかし、現実に戻って再び仕事に戻れば、こうはのんびりと構えてはいられない。日々様々な問題に直面する。大半は騒ぎ立てる問題ではないことなのだが、日常生活に直結する場合が多いので始末が悪い。停電、ネットの寸断、遅々として進まぬ事務手続きや申請手続きなどにイラつきながら、依頼、取引業者の不始末の言い訳を聞かされて毎回うんざりする。

なぜ、並んで待つことができないのか 改善されないドライバーのマナー

しかし、この程度の出来事にはもう慣れっ子になった。いずれ時が解決してくれるだろうという淡い期待感が残されているからだ。でも、そうもいかない問題もある。マナーの悪さである。これはどうにかならぬのか。いや、しないと本当にダメな国民として烙印を押されてしまう。
例えばスーパーやショップ、映画館などでのレジや窓口で、どうしてこの国の人々は並んで待つということができないのか。隙きあらば割り込んでくる。席取りのように、レジカウンターに自分の商品を置いてしまえば勝ちだと言わんばかりに振る舞う。
運転にしてもそうだ。交差点で長い左折の列ができていると、必ず1台2台と直進車線から割り込んでくる。ひどいのは対向車線に出て割り込む危険極まりないドライバーだ。しかも1台がやると、必ず後続からどんどん真似する輩が続いてくる。
バスの運転手さんも相変わらず行儀が悪い。あちこちにバスレーンができているのに、それを無視してレーン外に出て走行し、割り込み、頻繁に車線変更する乱暴運転のケースが後を絶たない。この方たちには人さまの命を預かっているという自覚があるのだろうか。しかも勤務中なのにたばこを吸ったり、携帯をかけたり、開いた口が塞がらない。
こうしたマナーの悪さについて、誰も表立って注意しようとしない風潮にも我慢できない。「きちんと後ろに並びなさい、順番を守りなさい」と、店のスタッフが徹底させれば少しは良くなっていくと思うのに、ご自分たちもやっているから何とも思わなくなっているか、この感覚が怖い。

国民が政府の政策の足を引っ張る 自分勝手な考え方はを改めるべき

来月には総選挙を控えている。2011年に民政移管されてから、現政権はもがき苦しみながらも開放、改革を遂行してきたように思う。電力、金融、通信インフラ整備をはじめ、制度改革や法整備、投資環境など、少しづつだが改善に向かう意欲は感じ取れる。しかしながら、ミャンマー国民にとってはまだ不満は多々あろう。  こうした状況を我々異邦人がレフェリーのような立場で見ると、せっかく政府が本腰を入れ始めている政策に対して、どうも一部の国民が足を引っ張るような
行為をしているのは理解に苦しむ。外国からの投資が増え、経済が活性化して雇用が生まれる気運が出てきているのに、その流れを断ち切ろうとしている現象がまだ続いている。
 相変わらず高い賃貸住宅も元凶のひとつだ。1年ごとの更新時には、どの家主も必ず値上げを通告し、ひどいのは倍額提示だ。こうなると借り手は更新をあきらめ、他へ移転か撤退を余儀なくされる。進出を考える中小企業にしても、東京並みの宿泊料金や家賃を目のあたりにすると驚愕し、二の足を踏む。それでも借り手はいると錯覚しているから始末に負えぬ。
 カンボジアのプノンペンは人口わずか200万足らずの町だが、外国人の法人設立も簡単、家賃も安い。昨年当方は月500ドルで1LDKながら、オール家具付きで、施設内にプール、ジム、24時間ガードマン付きの新築のサービスアパートを借りていた。しかも日本同様、月々の家賃支払いである。ヤンゴンなら間違いなく2000ドル以上するだろう。だからカンボジアは投資環境がよく、日本企業や飲食店も数多く進出し、それなりに盛況を見せている。かっての中国もそうだった。
 その意味でこの国も、本気で外国からの投資を呼び込み、経済を向上させようと思うならば、強欲とも思える不動産所有者たちの意識を変えさせるべきだろう。批判、不平は言いたい放題だが、いざご自分のことになると身勝手な思考に走るのは情けない。前記したあきれたマナーの問題にしても、改善していくのは政府ではない。あくまで社会である。そしてミャンマー国民一人ひとりの自覚以外にないことを、もうわかっていただきたい。   

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